猫の慢性腎臓病、進行を遅らせるために飼い主ができること

はじめに

猫の慢性腎臓病(CKD)は高齢猫によく見られる代表的な疾患であり、完全に治すことは難しいですが、早期発見と適切な管理によって進行を遅らせることが可能です。本記事では、飼い主としてできる具体的なケアや予防的アプローチをご紹介します。


猫の慢性腎臓病とは?

腎臓の役割とCKDの仕組み

腎臓は血液をろ過し、老廃物や余分な水分を尿として排出する臓器です。慢性腎臓病では、腎機能が徐々に低下し、老廃物が体内に蓄積していきます。進行すると脱水、食欲不振、体重減少、貧血などの症状が現れます。

高齢猫に多い理由

加齢に伴い、腎臓のネフロン(腎単位)が減少することが原因の一つです。多くの猫が10歳以降に発症リスクが上がり、15歳以上ではかなりの割合で何らかの腎障害が見つかります。


飼い主ができる7つのこと

1. 水分摂取を増やす工夫

腎臓病の猫は脱水しやすいため、水分摂取が非常に重要です。

  • 流れる水を好む猫には自動給水器を設置
  • ウェットフードを併用する
  • 水の置き場所を複数にする

2. 療法食への切り替え

低リン・低たんぱく質・ナトリウム制限された腎臓サポート食は、病気の進行を遅らせる有効な手段です。食いつきが悪い場合は、メーカーやタイプを変えて様子を見ましょう。

3. 定期的な血液・尿検査を受ける

腎臓病は初期では症状が出にくいため、年1回(高齢猫では半年に1回)の健康診断が重要です。血液検査(SDMA・BUN・Cre)や尿比重、尿蛋白などをチェックします。

4. 体重・食欲の変化に注意する

食欲減退や体重減少は、腎不全の進行サインかもしれません。日々の食事量や体重を記録することが早期発見につながります。

5. リン吸着剤などの薬を活用する

療法食だけでリンを十分に制限できない場合は、リン吸着剤(例:炭酸カルシウム製剤)が処方されることがあります。獣医師の指示に従い、適切に使用しましょう。

6. 血圧や貧血の管理も忘れずに

腎臓病の猫は高血圧や貧血になりやすく、放置すると進行を早めます。これらの管理も進行抑制には欠かせません。

7. ストレスを避ける生活環境を整える

ストレスは猫の体調に大きな影響を与えます。安心できる空間、適度な遊び、静かな環境を整えてあげましょう。


まとめ

猫の慢性腎臓病は「できるだけ早く気づき、継続的にケアする」ことが何よりも重要です。食事、水分、検査、薬、そして日々の観察という飼い主のサポートが、愛猫のQOLを大きく左右します。「歳だから仕方ない」ではなく、一緒に穏やかな時間を延ばすためにできることを一つずつ取り入れていきましょう。


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