猫の甲状腺機能亢進症とは?高齢猫が急に痩せたら要注意!
はじめに
高齢の猫が「食欲はあるのに体重が減ってきた」「やたらと元気がある」などの症状を見せたら、甲状腺機能亢進症の可能性があります。この病気はシニア猫に多くみられ、早期発見・治療で生活の質(QOL)を大きく改善できます。
この記事では、猫の甲状腺機能亢進症の原因・症状・診断・治療法・注意点についてわかりやすく解説します。
甲状腺機能亢進症とは?
甲状腺は喉のあたりにある小さな内分泌腺で、代謝を調節するホルモン(T4・T3)を分泌しています。
この甲状腺が腫大し、ホルモンを過剰に分泌してしまう病気が甲状腺機能亢進症です。
主に高齢猫に多い病気
- 好発年齢:10歳以上の猫
- 原因の多くは良性の腺腫や過形成
- ごくまれに甲状腺がんが原因となることもあります
主な症状
甲状腺ホルモンの過剰によって全身の代謝が過剰に活発になり、さまざまな症状が現れます。
よく見られる症状
症状 | 内容 |
---|---|
体重減少 | 食欲があるのに痩せる |
食欲増加 | 常にお腹が空いている様子 |
活動性の増加 | 落ち着きがなく、よく鳴く・動き回る |
嘔吐や下痢 | 消化管の運動が活発になるため |
毛づやの悪化 | 被毛がぼさぼさに見えることも |
頻脈や高血圧 | 心臓に負担がかかる |
放置すると危険!
- 心臓病(高心拍出性心不全)
- 高血圧による網膜剥離・失明
- 慢性腎臓病との併発リスク
診断方法
動物病院では以下のような検査で診断を行います。
- 身体検査:甲状腺の腫大や心雑音の有無をチェック
- 血液検査:
- 総T4(サイロキシン)値の測定が基本
- fT4(遊離T4)やTSH(甲状腺刺激ホルモン)も補助的に評価
- 血圧測定:高血圧の有無を確認
- 超音波検査:心臓や腎臓の状態を確認
治療法とその選択肢
治療の選択肢は以下のようなものがあります。
1. 内科療法(抗甲状腺薬)
- 一般的な第一選択
- チアマゾール(メルカゾール®)などの内服薬を使います
- 毎日の投薬が必要で、副作用(嘔吐、白血球減少など)のチェックも重要
2. ヨウ素制限食(療法食)
- ヨウ素の摂取を制限し、ホルモン合成を抑制
- 他のフードと併用できない(単独給与が原則)
3. 外科的切除
- 甲状腺を摘出する手術
高齢猫には慎重な管理が重要
- 腎機能が低下している猫では、治療で腎不全が顕在化することがあるため注意が必要
- 定期的な血液検査やホルモン測定でモニタリングが不可欠
- 治療の目的は「正常な甲状腺機能の維持」と「生活の質の確保」です
まとめ:愛猫の異変に早めの気づきを
甲状腺機能亢進症は治療可能な病気です。特に「よく食べるのに痩せる」「元気すぎる」「高齢猫の体重減少」などが見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。早期発見・適切な治療で、猫の穏やかなシニアライフを守ることができます。
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