猫の高血圧症とは?症状・原因・治療法をわかりやすく解説
はじめに
高齢の猫に多い病気のひとつに「高血圧症」があります。人間の高血圧と同じように、猫でも血圧が異常に高くなることで全身にさまざまな悪影響が及ぶことがあります。
特に、目や脳、腎臓、心臓などへのダメージは深刻で、気づいたときにはすでに視力を失っているケースも…。今回は、猫の高血圧症について、症状・原因・治療法・予防策までわかりやすく解説します。
猫の高血圧症ってどんな病気?
高血圧症とは、動脈の血圧が慢性的に高くなった状態のことをいいます。猫では特にシニア期(7歳以上)に多く、二次性高血圧(他の病気が原因で起こるタイプ)がほとんどです。
猫の正常な血圧は?
・収縮期血圧(いわゆる上の血圧):120〜160mmHg程度
・180mmHg以上になると、臓器障害(目や脳など)のリスクが高まります。
高血圧で起こるおもな症状
猫の高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれるほど、初期には症状がほとんど出ません。しかし、血圧が高い状態が続くと、以下のような重篤な症状が現れることがあります。
視覚異常・失明
- 突然ものにぶつかるようになる
- 瞳孔が開きっぱなしで反応しない
- 眼底出血や網膜剥離により失明することも
神経症状(高血圧性脳症)
- フラフラ歩く
- 意識がもうろうとする
- けいれん発作を起こす
心臓への負担
- 心拍数が増える
- 心肥大や心雑音の原因になることも
腎臓への悪影響
- 慢性腎臓病が悪化
- 尿が出にくくなる、水をたくさん飲むといった変化
原因となる病気とは?
猫の高血圧の多くは「二次性高血圧」で、以下のような基礎疾患に伴って起こります。
① 慢性腎臓病(CKD)
→ 腎臓の機能低下によって血圧の調整がうまくいかなくなります。
② 甲状腺機能亢進症
→ 中高齢猫に多く、ホルモンの過剰分泌により代謝が異常に活発になり血圧が上昇。
③ 原因不明(本態性高血圧)
→ 人間と同じく、明らかな病気が見つからない場合もあります。
治療法:血圧を下げ、原因疾患も治療する
① 降圧薬の使用
- 主に「アムロジピン(カルシウム拮抗薬)」が使われます。
- 猫にとって安全性が高く、比較的効果も出やすいです。
- 自宅での投薬が必要ですが、一生涯続くこともあるため継続が大切です。
② 原因疾患の治療
- 慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症などの管理が重要です。
- 原因がコントロールされると、血圧も改善することがあります。
③ 定期的な血圧測定
- 動物病院での定期的な血圧チェックが治療効果の判断に役立ちます。
予防と早期発見のポイント
高血圧を完全に予防するのは難しいですが、以下のポイントを意識することで早期発見・早期治療につながります。
- 7歳以上の猫は半年〜1年ごとの健康診断を受ける
- 特に腎臓病や甲状腺疾患がある猫は血圧測定を習慣化する
- 「なんとなく元気がない」「目が見えてなさそう」などささいな変化にも敏感に
まとめ
猫の高血圧症は、一見元気そうに見えても重大な臓器障害を引き起こすおそれのある病気です。
特に高齢猫にとっては、定期的な血圧チェックと原因疾患の管理がとても大切です。
もし、猫の様子に「ちょっとおかしいかも?」と感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。
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