猫の繊維反応性腸症とは?長引く下痢・軟便の“意外な原因”と対処法
「何日も軟便が続いてる…」
「便がゆるいけど元気はあるし…様子見でもいいのかな?」
そんなふうに、猫の慢性的な下痢や軟便に悩んでいませんか?
じつは近年、「繊維(ファイバー)」によって症状が改善するタイプの腸の病気が注目されています。これは「繊維反応性腸症(Fiber-responsive enteropathy)」と呼ばれ、特に若齢猫や比較的元気な猫でも見られるのが特徴です。
繊維反応性腸症とは?
繊維反応性腸症とは、高繊維の食事を与えることで下痢や軟便などの消化器症状が改善する腸疾患の一種です。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、腸内環境(マイクロバイオーム)や運動性、便の水分量などが関係していると考えられています。
この病気は、慢性腸症(CE:Chronic Enteropathy)の一タイプとして、以下のような疾患と並列に扱われます。
- 食事反応性腸症(FRE)
- 抗菌薬反応性腸症(ARE)
- 免疫抑制反応性腸症(IBD)
- 繊維反応性腸症(Fiber-responsive enteropathy)←今回のテーマ
慢性腸症について詳しいコラム記事はこちら↓↓
どんな症状が見られる?
- 2週間以上続く軟便・下痢
- 便がやや細く、やわらかい
- 回数が多い(1日3回以上)
- においが強い
- でも、元気・食欲はあることが多い!
この「元気はあるけど便がゆるい」というパターンが特徴的で、飼い主さんもつい様子を見がちです。
診断はどうやって行うの?
繊維反応性腸症には明確な診断基準がないため、他の病気を除外した上で、試験的に高繊維食を与えてみることが診断の一歩となります。
動物病院ではまず以下のような検査を行うことが多いです。
- 便検査(寄生虫・細菌などのチェック)
- 血液検査(甲状腺や腎臓の確認)
- 超音波検査(腸の炎症や形態の確認)
- 必要に応じて内視鏡検査や生検
これらで大きな異常がなければ、繊維反応性腸症を疑い、食事を変えて反応を見ることになります。
治療はどうするの?
主な治療は「食事療法」です。
💡 ポイントは“可溶性と不溶性のバランス”
繊維には2種類あります。
- 可溶性繊維:腸内細菌のエサになりやすく、便を柔らかくする
→ 例:ビートパルプ、フラクトオリゴ糖、サイリウムなど - 不溶性繊維:便のかさを増やし、腸の動きを整える
→ 例:セルロース、小麦ふすまなど
この2つをバランスよく含んだ療法食を使うことで、便の性状が改善する猫が多いです。
※市販のフードでは繊維の種類や量が不明なため、動物病院で相談のうえ切り替えましょう。
どのくらいで効果が出る?
多くの場合、数日〜1週間ほどで便の形が改善してきます。
それでも変化がない場合は別の病気(IBDやEPIなど)を疑い、さらなる検査が必要となることもあります。
まとめ|「便のゆるさ」は“体質”ではなく“病気”の可能性も
「軟便だけど元気だから様子を見ていた」という猫ちゃんの中には、繊維反応性腸症だったケースが実は少なくありません。
しっかり原因を見極めてあげることで、毎日のトイレトラブルがスッキリ解消する可能性もあります!
猫の便がいつもよりやわらかかったり、回数が増えていたりする場合は、ぜひ一度動物病院にご相談ください。
毎日出る「うんち」は、健康のバロメーターです。愛猫の腸内環境を整えて、快適な毎日を過ごしましょう!
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茅ヶ崎市・藤沢市エリアで消化器疾患でお困りの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。