マダニの生活環って知ってる?|愛犬・愛猫を守るために知っておきたい基礎知識

「マダニ」と聞くと、犬や猫にくっついて血を吸う厄介な虫、というイメージがあるかもしれません。でも実は、その一生(=生活環)は意外と奥が深く、人にも危険な感染症を運ぶ存在でもあります。

今回はそんなマダニの「生活環」について、飼い主さんにもわかりやすく解説します。あわせて、なぜマダニ対策は季節を問わず通年必要なのか?も詳しくお伝えします。


マダニってどんな生き物?

マダニは節足動物の一種で、草むらや林、河川敷などに生息し、犬・猫・人に取りついて吸血します。とくに問題となるのが「フタトゲチマダニ」や「タカサゴキララマダニ」などで、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)バベシア症などの感染症を媒介することがあるため注意が必要です。

SFTSについて詳しいコラム記事はこちら↓↓


マダニの生活環とは?

マダニの一生は「卵 → 幼ダニ → 若ダニ → 成ダニ → 産卵」という4期性の生活環をとります。各ステージごとに吸血を行い、成長していきます。

成ダニのメスは、吸血を終えると地面に落ち、数千個の卵を産みます。

幼ダニ(1回目の吸血)

卵から孵化したばかりの幼ダニはごく小さく、主に小動物や鳥などに寄生して吸血します。

若ダニ(2回目の吸血)

幼ダニが吸血後に脱皮して若ダニとなり、再び別の宿主を探して吸血します。この時期から犬猫への寄生も始まります。

成ダニ(3回目の吸血と産卵)

若ダニがさらに脱皮して成ダニになります。メスは吸血後に産卵し、命を終えます。


マダニの活動と気温・湿度の関係

マダニの生活環が成り立つには、気温と湿度が非常に重要です。これらの環境条件により、マダニの活動時期や生息地域が大きく左右されます。

■ 気温:13℃以上で活動、20~30℃で最も活発

  • 13℃以下:活動停止、休眠状態
  • 13~20℃:やや低活性だが、吸血や繁殖は可能
  • 20~30℃:最も活発に吸血・移動・繁殖
  • 35℃以上:高温・乾燥で死滅することもある

近年の温暖化により、冬でも10℃を超える日が増加し、マダニが1年中活動するようになっています。

■ 湿度:高い方が活発

マダニは乾燥に弱いため、湿度が高い環境が必要です。

  • 湿度が高い:長期間生存・繁殖が可能
  • 湿度が低い:脱水し死亡するリスクが高い

草むらや落ち葉の下、日陰の茂みなどは湿度が保たれやすく、都市部の公園や庭先でもマダニの生息が確認されています。


なぜ「通年予防」が必要なの?

気温13℃以上&湿度75%以上で活動可能なマダニにとって、日本の気候は極めて快適です。

都市部では冬でも10℃以上の気温が続く日があり、完全な「マダニのオフシーズン」は存在しません。

ヒートアイランド現象や暖房された屋内・ベランダ環境でもマダニが生存可能なケースが報告されています。

そのため、マダニの活動を季節で区切るのではなく、1年を通して継続的に予防を行うことが、愛犬・愛猫を守るうえで最も確実な方法です。


飼い主さんにできるマダニ対策

  • 毎月のマダニ予防薬(スポットタイプ・チュアブルなど)の継続使用
  • 草むら、藪などへの立ち入りを避ける
  • 散歩後の全身チェックとブラッシング
  • ペット用ベッドや毛布の定期的な洗濯・掃除
  • ノミ・マダニ用シャンプーやスプレーの活用

まとめ

環境条件マダニの活動性
気温13℃以下休眠状態
気温13〜20℃吸血可能だが低活性
気温20〜30℃最も活発
湿度高い成育・繁殖に最適

マダニは一生のうちに3回吸血し、数千個の卵を産み出します。気温と湿度の条件が整えば、1年中どのステージのマダニとも接触するリスクがあります。

だからこそ、「うちは冬は予防していないから大丈夫」というのは過信につながります通年の予防こそが、あなたの大切な家族(犬・猫)を感染症から守る最良の方法です。

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