犬が白い泡を吐いた…これって大丈夫?原因と受診の目安を獣医師が解説

はじめに

「朝起きたら、床に白い泡が…」
「元気はあるけど、白っぽい液体を吐いて心配」
そんな経験、ありませんか?

犬が吐く“白い泡”は比較的よく見られる症状の一つですが、放っておいてよいケースと、命に関わる重大な病気のサインである場合もあります。本記事では、犬が白い泡を吐く代表的な原因と、早期受診が必要なケース、家庭でできる対策について解説します。


白い泡を吐く原因とは?

白い泡の正体は主に胃液や唾液に空気が混ざったものです。
以下のような原因が考えられます。


【1】空腹性嘔吐(胆汁嘔吐症候群)

特徴

  • 朝方や空腹時に多い
  • 吐いたものは白い泡や黄色い液体(胆汁)
  • 本犬は元気・食欲あり

原因

長時間食事が空くことで、胃酸が過剰に分泌され、胃を刺激して吐いてしまいます。

対処・予防

  • 夜食や早朝の少量の食事を取り入れる
  • 1日2回ではなく3~4回の分割給餌に変更

【2】胃炎・胃潰瘍などの消化器疾患  

  • 嘔吐の回数が多い
  • 食後にすぐ吐く
  • 食欲不振や元気消失もある

胃の粘膜が炎症を起こすと、刺激で吐き気が生じます。慢性胃炎や薬剤性潰瘍、腫瘍などの可能性もあるため、症状が長引く場合は精査が必要です。


【3】異物誤食 

  • 吐こうとしても何も出ないか、泡だけ
  • 苦しそうな様子、よだれ、落ち着きがない
  • 散歩中や留守番中に誤食の可能性があるときは要注意

胃や腸に異物が詰まると、消化が進まず吐き気を誘発します。緊急手術が必要な場合もあるため、疑わしい場合は早急に受診を。


【4】胃拡張捻転症候群(GDV) 🆘 命に関わる緊急疾患!

特徴

  • 突然の吐き気(吐こうとしても吐けない)
  • 白い泡だけを吐く、または吐けない
  • お腹が膨らんでいる(ガスでパンパン)
  • よだれが多く、ぐったりしている
  • 虚脱、呼吸困難、ショック症状

解説

大型犬や胸の深い犬種(例:ボルゾイ、ジャーマン・シェパード、グレート・デン)に多く見られます。胃がねじれてガスや液体が排出できなくなり、短時間でショックや死に至る極めて危険な状態です。

対応

すぐに動物病院へ!時間との勝負です!
「泡だけ吐いているのにお腹が膨れている・苦しそう」なら迷わず緊急対応を。

より詳しいコラム記事はこちら↓↓


【5】感染症(特に子犬)

  • パルボウイルスなどのウイルス感染では、泡状の嘔吐に加え、激しい下痢、元気消失が見られます
  • 子犬やワクチン未接種犬では要注意

【6】ストレス・乗り物酔いなど一過性の要因

  • 環境の変化(雷、留守番)や興奮、乗り物酔いで一時的に吐くこともあります
  • ただし繰り返すようなら身体的な問題も考慮を

受診の目安|こんなときはすぐ動物病院へ!

以下のような症状を伴う場合は、急を要する可能性があります。

  • 嘔吐後もぐったりしている
  • お腹が異常に膨らんでいる
  • 白い泡を吐こうとして何度もえずいているが吐けない
  • 食べ物も水もすぐに吐いてしまう
  • 吐き気に加えて下痢・血便・発熱がある
  • 異物誤食の可能性がある

よくあるご質問(Q&A)

Q. 一度だけ白い泡を吐いて、その後元気なら様子見でもいい?

→ はい、1回だけで元気・食欲があるなら様子見可能です。ただし、吐く頻度が増える、元気がなくなる、お腹が張っているなどがあればすぐに病院へ。

Q. 空腹性嘔吐は治療が必要?

→ 治療よりも食事の与え方を見直すことが重要です。食間を空けすぎない、夜食を少し与える、などで改善することが多いです。


まとめ

犬が白い泡を吐く原因はさまざまですが、軽度な空腹性嘔吐から、命に関わる胃拡張捻転症候群(GDV)まで幅広く存在します。

特に以下のような症状がある場合は、早めの受診が重要です。

  • 嘔吐が繰り返される
  • お腹が張っている
  • 吐く動作ばかりで何も出ない
  • 元気や食欲がない

迷ったら、まずは動物病院にご相談ください。
「ただの吐き気」と思っていても、早期対応が命を守ることにつながります。

友だち追加で診察予約・最新情報がチェックできます!!





茅ヶ崎市・藤沢市エリアで消化器疾患でお困りの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。