犬の血尿と溶血尿|見分け方と注意すべき病気

「おしっこが赤い!」――そんなとき、飼い主さんはとても驚かれると思います。でも赤い尿には3つのタイプがあることをご存じですか?「血尿」「溶血尿」、そして「ミオグロビン尿」です。

見た目は似ていても、原因や治療の必要性は大きく異なります。この記事では、赤い尿の原因となるこれらの違いと、注意すべき病気について解説します。


見た目は似ていても違う!3つの「赤い尿」

1. 血尿とは?

尿の中に赤血球が混じって赤く見える状態です。泌尿器に炎症や損傷があると起こります。

主な原因:

  • 膀胱炎
  • 尿路結石
  • 前立腺疾患
  • 腎炎など

膀胱炎では残尿感が伴うために「頻尿」症状も伴います。


2. 溶血尿とは?

体内で赤血球が壊れて(=溶血)、その中のヘモグロビンが尿中に排出された状態です。尿検査では赤血球は確認できず、ヘモグロビンのみ陽性になります。

主な原因:

  • 自己免疫性溶血性貧血(IMHA)
  • 玉ねぎやニラの中毒
  • 感染症(バベシア症、レプトスピラ症など)
  • 重度の低リン血症

自己免疫性溶血性貧血についてより詳しいコラム記事はこちら↓↓


3. ミオグロビン尿とは?

筋肉が壊れたときに出るミオグロビンが尿に排出された状態です。溶血尿と同じく赤黒い尿になりますが、原因は筋肉障害です。

代表的な原因:

  • 重度の外傷や打撲
  • 横紋筋融解症(熱中症後などに起こることも)
  • 過度な運動やけいれん発作後

特徴:

  • 血液検査でCK(クレアチンキナーゼ)値やAST値が著しく上昇
  • 腎障害(ミオグロビン腎症)を併発する事もある

熱中症に関してより詳しいコラム記事はこちら↓↓


ミオグロビン尿・溶血尿・血尿の比較

尿の種類原因尿検査の特徴注意点
血尿泌尿器の出血赤血球(+)比較的よく見られるが要検査
溶血尿赤血球の破壊赤血球(-)、ヘモグロビン(+)命に関わる溶血性疾患の可能性あり
ミオグロビン尿筋肉の破壊赤血球(-)、ヘモグロビン(+)※腎障害をきたすこともあるため注意

※尿試験紙ではヘモグロビンとミオグロビンの区別はつきません。血液検査や病歴から総合的に判断します。


こんなときはすぐに動物病院へ!

  • 赤い尿が出ていて元気・食欲もない
  • 発熱、黄疸、ふるえ、呼吸が荒い
  • けいれん後や熱中症のあとに赤黒い尿が出た
  • 激しい運動のあとに赤い尿が出た

これらは、溶血尿やミオグロビン尿の可能性が高く、早急な検査・治療が必要です。


動物病院での検査と治療

  • 尿検査(赤血球・ヘモグロビンの有無)
  • 血液検査(貧血・黄疸・CK値など)
  • 超音波・レントゲン検査(泌尿器の状態確認)
  • 感染症の検査(バベシア、レプトスピラなど)

原因に応じて、抗炎症薬・輸液・免疫抑制剤・抗菌薬などを使用します。


まとめ|「赤い尿=血尿」とは限らない!溶血尿・ミオグロビン尿にも注意を

「赤い尿=膀胱炎」と思われがちですが、実は溶血性疾患や筋肉障害など、命に関わる深刻な病気のサインであることもあります。

とくに以下の2つは要注意です。

  • 溶血尿:赤血球の破壊による貧血が急速に進行することがあります。
  • ミオグロビン尿:臨床的に意義の低いものから筋肉の崩壊を起こす基礎疾患が存在する可能性もあります。

見た目では判別できないため、赤い尿に気づいたら、元気・食欲・発熱・運動歴などもあわせて確認し、なるべく早く動物病院での検査を受けましょう。

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茅ヶ崎市・藤沢市エリアで病気の予防関連でお困りの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。