猫がトイレ以外で排泄するのはなぜ?粗相の原因とストレス・病気の関係
「最近、猫がトイレじゃない場所でおしっこをするようになった」
「布団の上や玄関で粗相してしまう」
そんなご相談は、動物病院でもとても多いです。
猫の“粗相”は、単なるわがままやしつけの問題ではなく、体の不調やストレスのサインであることが多いのです。
この記事では、猫がトイレ以外で排泄してしまう主な原因と、ストレス・病気との関係について解説します。
猫が粗相をしてしまう原因は大きく2つ
猫の排尿トラブルは、
- 身体の病気によるもの
- ストレスや環境変化によるもの
のいずれかor両方が関与していることが多いです。
① 病気が原因の場合
特に泌尿器系のトラブルでは、粗相が最初のサインになることがあります。
たとえば以下のような病気が関係します。
- 膀胱炎(特に特発性膀胱炎)
- 尿石症
- 腎臓病・糖尿病(尿の量が増える)
- 関節炎(トイレまで行くのがつらい)
- 肥満(トイレまで動きたくない)
また、猫は痛みや不快感を隠す動物ですが、排尿時に痛みを感じると「トイレ=痛い場所」と学習してしまい、トイレを避けて別の場所で排泄することがあります。
実例:肥満猫の粗相が「糖尿病」だったケース
以前、肥満の猫ちゃんが「最近トイレに行かず、部屋の隅でおしっこをしてしまう」と来院されました。
飼い主さんは「体が重くてトイレまで行けないのかも」「ストレスかもしれない」と思っていたそうです。
しかし検査をしてみると、血糖値が非常に高く、糖尿病が見つかりました。
糖尿病では「多飲多尿」といって、水をたくさん飲み、尿の量も増えます。
結果的にトイレの回数が増えて間に合わず、トイレ以外で排泄してしまうことがあるのです。
このように、「ストレスかな?」と思っていた粗相が、実は病気のサインだったというケースは少なくありません。
まずは一度、動物病院で尿検査や血液検査を受けてみることが大切です。
② ストレスや環境変化によるもの
病気が否定された場合には、ストレスや環境の変化が関係している可能性があります。
猫はとても繊細な動物で、環境の変化に敏感です。
以下のような出来事がきっかけで、トイレを使わなくなることがあります。
- 新しい猫や犬、人が家に来た
- 家具の配置やトイレの場所を変えた
- トイレの砂を変えた
- 飼い主の外出が増えた、生活リズムが変わった
- トイレが汚れている・においが強い
特に「猫特発性膀胱炎」は、ストレスと深い関係がある病気で、環境変化によって膀胱炎を起こし、排尿痛や頻尿を伴うこともあります。
猫が安心して使えるトイレ環境づくり
猫にとってトイレは“安全な場所”であることが大切です。
次のポイントを見直してみましょう。
- 猫の数+1個のトイレを設置する
- 体格の1.5倍の広さ
- 静かで人の出入りが少ない場所に置く
- 毎日掃除し、清潔を保つ
- 猫が好む砂を使う(粒の大きさ・素材に好みあり)
- 屋根付きトイレを嫌がる猫も多い
トイレの環境を整えるだけで、粗相が減るケースも多くあります。
ストレスを減らす工夫
猫のストレスを減らすためには、「安心できる居場所」を作ることが何より大切です。
- 高い場所や隠れ場所を確保(キャットタワーやハウス)
- フェリウェイ®などフェロモン製剤の使用
- 飼い主とのスキンシップを日課に
- 決まった時間に食事や遊びを行う
- 多頭飼育では、それぞれの猫が安心して過ごせるスペースを確保
受診の目安
次のような様子が見られる場合は、ストレスだけでなく病気が関係している可能性があります。
- 排尿姿勢をとっても尿が出ない
- 頻繁にトイレに行く、鳴く
- 血尿や少量排尿
- 水をよく飲む、食欲や元気がない
こうした場合は、早めに動物病院を受診してください。
痛みや病気を放置すると、ストレスがさらに悪化してしまいます。
まとめ
- 猫の粗相は「ストレス」「トイレ環境」「病気」が複雑に関係して起こります。
- 叱るよりも、原因を探してあげることが大切。
- 特に多尿・多飲・血尿などがある場合は、早めに病院で検査を。
- 環境を整えて、猫が安心して排泄できるようサポートしましょう。
猫の粗相は、猫からの「何かが違うよ」というSOSサインです。
そのサインを見逃さず、早めの受診と環境改善で、猫ちゃんの快適な生活を取り戻してあげましょう。
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