愛犬と茅ヶ崎の海を散歩するときのマナーと注意点|ノーリードが思わぬトラブルを招くことも


茅ヶ崎の海岸は、犬連れの散歩コースとして一年を通して人気の場所です。
夏場の観光シーズンを避け、秋冬の静かな海辺を歩く時間は、まさに湘南ならではの贅沢。
しかし、そんな穏やかな風景の中にも、犬の安全を脅かす危険やトラブルの種が潜んでいます。

「砂浜でボール遊びをしていたら、ロングリードの犬が勢いよく走ってきて、うちの子にぶつかって怪我をした」
「ノーリードの犬に近づかれて、噛みつかれてしまった」

このようなトラブルは、茅ヶ崎の海岸でも実際に起きています。
この記事では、愛犬と安全に楽しく海を散歩するためのマナーと注意点をまとめました。


茅ヶ崎の海岸で起きやすいトラブルと危険

① ロングリード・ノーリードによる事故

砂浜は広く見えても、ランのように囲われた空間ではありません。
ロングリードで走り回っている犬が、ほかの犬に衝突したり、リードが足に絡まって人が転倒するケースが実際に報告されています。

また、「誰もいないから大丈夫」とノーリードにする方もいますが、波打ち際では思わぬアクシデントが多く、犬が急に走り出すことがあります。
海鳥を追いかけて行方不明になったり、他の犬に突進してケンカになったりすることも。

海でのトラブルで病院に連れて来られる患者様の中には、「普段はできているけれどもちょっと目を離した隙に」といったケースもあります。

見渡しの良い開放的な空間ほど、油断は禁物です。

② 誤食や毒物の危険

海岸には見た目では分かりにくい危険な異物や生物が多く存在します。

釣り針・釣り糸

海辺の散歩で最も多い事故のひとつが釣り針の誤食や刺傷です。
見た目では小さくても、口や足に刺さると非常に危険です。
特にイカ釣り用の針(スッテ)は、複数のカエシがついており、一度刺さると簡単には抜けません。

筆者が夜間救急に従事していた際、イカ釣り用の針を誤食した犬が運ばれてきたことがあります。
幸いにも舌先に引っかかっていたため摘出できましたが、
もし舌根や食道に食い込んでいたら、呼吸困難や致命的な出血を起こしていた可能性もありました。

また、釣り糸を誤食すると、紐状異物として腸に引っかかり、腸をアコーディオン状に縮れさせてしまい、最悪の場合は腸が裂けてしまいます。
この場合、内視鏡では取りきれず、開腹手術が必要になります。

魚の骨・腐敗した魚

打ち上げられた魚や魚の骨を拾い食いしてしまうワンちゃんもいるかもしれません。
これらは消化器障害や感染症の原因となるだけでなく、カビや細菌による食中毒を引き起こすこともあります。

腐敗した魚にはヒスタミン中毒を起こす菌が増殖していることがあり、摂取後に嘔吐・下痢・発熱などを呈することも。

また、コリー系など一部の犬種は薬物や毒素に過敏に反応しやすい遺伝的傾向(MDR1遺伝子変異)があり、
ごく微量の毒でも重篤な症状を起こす可能性があります。

プラスチック片・貝殻・砂の誤食

海岸には、潮で削れたプラスチックごみや貝殻の破片が多く漂着しています。
これらを誤食すると、腸閉塞のリスクがあります。

特に見落とされがちなのが「砂の誤食」。
砂浜でボール遊びをしていると、ボール表面に付着した砂を何度も飲み込み、知らないうちに大量の砂を摂取してしまうことがあります。

砂による腸閉塞を起こした場合の対応は非常に厄介で、万が一開腹手術となった場合、通常の異物閉塞よりも手術難易度が高くなる傾向があります。
遊びの際は「砂を飲み込まないように」「飲水をこまめに与える」ことを心がけましょう。

詳しいコラム記事はこちら↓↓

カツオノエボシ(毒クラゲ)

湘南・茅ヶ崎の海岸では、季節を問わずカツオノエボシ(クラゲ)が漂着することがあります。
見た目は青紫色の半透明な浮き袋のようで、子どもや犬が「綺麗!」と興味を示しがち。
しかし、触れると強力な刺胞毒
で激しい痛みや腫れを起こします。

乾燥して砂浜に打ち上げられていても、毒針は生きたまま残っているため、触るだけでも危険です。

犬が口で咥えたり舐めたりすると、口の中や喉に激しい炎症を起こし、腫脹による気道閉塞に陥ることもあります。

見かけたら近づかず、リードを短く持って静かにその場を離れましょう。

砂浜では「拾い食い防止」が何より大切。
リードを短く保ち、常に愛犬の口元や足元を観察しておきましょう。

③ 他の犬とのトラブル

茅ヶ崎の海岸は犬連れが多く、さまざまな犬種・性格の子が集まります。
相性の合わない犬同士が接触すると、吠え合いや噛みつき事故につながることも。

「うちの子は大丈夫」と思っても、相手の犬が怖がりだったり、リードを外していると制御できません。

また、もし自分の犬が他の犬にケガをさせた場合、飼い主が法的責任を問われる可能性もあります。
ノーリードや伸縮リードによる自由行動は、思わぬトラブルを招くリスクがあることを忘れないようにしましょう。

安全で気持ちよく海を楽しむためのマナー

1. リードは短く、安全距離をキープ

他の犬や人が見える範囲では、1〜1.5mの固定リードが理想的。
ロングリードを使う場合は、周囲に誰もいない事を十分確認し続けましょう。

2. ノーリードは禁止が原則

公共の場所でのノーリードは原則禁止されています。
呼び戻しが完璧でも、波の音で遮られてしまったり、他の犬や人に気を取られてしまったりするとトラブルの原因になる場合があります。
リードを着けることは「うちの子を守ること」でもあります。

3. 排泄物・ゴミは必ず持ち帰る

砂浜は風が強く、放置されたゴミや袋が飛ばされやすい環境です。
糞やゴミの放置は、地域住民の不快感を招き、犬の立ち入り制限強化にもつながります。
地域でおこなうビーチクリーニングなどに積極的に参加して、綺麗な浜辺を自分達で守りましょう。

4. 海辺の危険物をチェック

カツオノエボシや漂着物を見つけたら、犬を近づけずその場を離れましょう。
足裏にトゲや釣り針が刺さったときは、無理に抜かずにすぐ動物病院へ。

5. 体調と季節に応じたケアを

秋冬の海は冷たい風で体が冷えやすい季節。
帰宅後は足を洗ってしっかり乾かし、皮膚トラブルを防ぎましょう。
夏場は熱中症・塩水摂取にも注意が必要です。

海散歩のあとにしておきたいケア

  • 海水・砂をしっかり洗い流す(塩分で皮膚炎を起こすことがあります)
  • 耳の中や足の間を乾かす(外耳炎・皮膚炎予防)
  • 肉球保湿を行う(乾燥・ひび割れ対策)

まとめ|「自由に遊ばせること」より「安全に楽しむこと」

海は犬にとって刺激がいっぱいの素敵な場所です。
走り回りたい、拾いたい、嗅ぎたい——その気持ちは自然なこと。
でも、安全を守るのは飼い主さんのリードひとつ。

「うちの子は大丈夫」ではなく、「みんなが安心して楽しめる海にしたい」
そんな思いでルールを守れば、愛犬との海辺の時間はもっと豊かになります。


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茅ヶ崎市・藤沢市エリアで病気の予防関連でお困りの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。