シニア犬・猫の行動変化|認知症の早期サインとケア方法
犬や猫も高齢になると、人と同じように「脳の老化」による行動変化が現れます。
最近、
- 夜に鳴くようになった
- 部屋をぐるぐる歩き回る
- 名前を呼んでも反応しない
と感じたことはありませんか?
これらは認知症(認知機能不全症候群:Cognitive Dysfunction Syndrome, CDS)の初期サインである可能性があります。
本記事では、シニアの犬猫に見られる行動変化と認知症の早期サイン、原因、治療、家庭でできるケア方法をわかりやすくまとめました。
犬猫の認知症とは?
犬と猫では老化スピードが異なりますが、一般的に
- 犬:7歳以上
- 猫:7〜10歳以上
から認知症のリスクが高まると言われています。
認知症(CDS)は、脳の神経細胞が老化し、情報処理能力や記憶力が低下することで、行動や生活リズムに変化が現れる病気です。
早期発見できれば、進行を遅らせたり生活の質を改善する治療が可能です。
認知症の“早期サイン”——見逃しやすいポイント
犬猫の認知症の行動変化は、老化による変化と見分けがつきにくく、初期は気づかれないことが多いです。
ここでは、特に見落としやすい初期症状を紹介します。
① ぼんやりした表情・反応が遅い
名前を呼んだ時の反応が弱くなったり、目が合いにくくなることがあります。
飼い主の帰宅に対する喜び方が減るケースも。
老化との違い
単に「動きがゆっくり」だけでなく、“気配に気づいていない雰囲気”が特徴です。
② 生活リズムの乱れ(昼夜逆転)
夜中に起きてウロウロしたり、鳴くようになるのは認知症の初期に多い変化です。
睡眠サイクルを調整する脳の機能低下が原因と考えられています。
③ 同じ場所をぐるぐる歩く(軽い徘徊)
壁沿いに歩き続けたり、同じ方向に旋回する行動は、空間認知能力の低下によるものです。
特に猫では気づかれにくく、軽度でも認知機能低下が進んでいる可能性があります。
④ トイレの失敗が増える
場所がわからなくなる
または
トイレだと認識できなくなる
ことが原因です。
猫の場合、砂の感触が嫌で“別の場所で排泄する”こともあるため、環境要因との見極めが大切です。
⑤ 飼い主や家族を認識しづらい
一瞬「知らない人」のような反応をしたり、撫でられて驚くことがあります。
記憶や認識能力の低下が背景にあります。
認知症の原因とリスク因子
犬や猫の認知症の原因は多因子的ですが、主に以下が関係します。
脳の老化
神経細胞の減少、血流の低下、酸化ストレスなどが複合的に関与します。
慢性疾患
- 心臓病
- 腎不全
- 甲状腺機能低下症(犬)
- 糖尿病
などの慢性疾患は脳の酸素供給や代謝に影響し、認知症リスクを高めます。
運動や刺激の不足
若い頃からの運動不足や知的刺激不足は認知症の発症リスクを上げると考えられています。
動物病院でできる治療・検査
認知症が疑われる場合、動物病院では以下を行います。
血液検査・神経学的検査
認知症に似た症状を示す「ほかの病気」を除外します。
(例:甲状腺疾患、腎不全、脳腫瘍、視力障害など)
認知症の進行を遅らせる薬の使用
犬では
- セレギリン
- 抗酸化サプリメント
などの選択肢があります。
猫は犬ほど薬の選択肢は多くありませんが、サプリや環境調整で進行抑制を目指します。
家庭でできる認知症ケア|今日から始められる対策
認知症の治療で最も大切なのは“環境と生活リズムの調整”です。
家庭でできるケアをまとめました。
① 昼間に刺激と運動を増やす
・散歩時間の見直し
・知育玩具を使う
・軽いトレーニング
など、日中にしっかり活動させることで、夜間のおとなしい時間が増えやすくなります。
② 室内の危険物を減らす(安全対策)
認知症の犬猫は物にぶつかりやすいため、
- 角のある家具にクッション
- 段差を減らす
- 滑らない床にする
などの工夫が重要です。
③ トイレの数と導線を見直す
猫は特にトイレ環境の改善が効果的です。
「家の部屋数+1」のトイレを置くのが理想です。
④ 食事の見直し(脳を守る栄養)
DHA・EPA、抗酸化物質、MCTオイルを含むフードは脳の健康維持に役立つとされています。
⑤ 夜間の光環境を整える
・真っ暗にしすぎない
・常夜灯の設置
・生活リズムが乱れている場合は朝日を浴びさせる
など、サーカディアンリズムの調整が効果的です。
まとめ|早期発見で“生活の質”を守りましょう
シニアの犬猫に見られる行動変化は、単なる老化ではなく認知症のサインである可能性があります。
早期発見・適切なケア・生活環境の改善で、進行を遅らせることが可能です。
「少し変だな?」と思ったら、ぜひ早めに動物病院に相談してください。
認知症ケアは“家族と動物の生活の質を守るための大切なサポート”です。
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茅ヶ崎市・藤沢市エリアで病気の予防関連でお困りの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。
