犬の肛門腺絞りの頻度はどれくらい?適切なタイミングと注意点を解説
「犬の肛門腺絞りの頻度はどれくらいが正解?」「そもそも肛門腺って何?」と疑問に思ったことはありませんか?
お尻を床にこすりつけたり、しきりに舐めたりする行動は、肛門腺トラブルのサインかもしれません。
肛門腺は定期的なケアが必要な部位ですが、やみくもに絞ればよいわけではなく、犬ごとに適切な頻度が異なります。
この記事では、
犬の肛門腺絞りの頻度・必要な犬の特徴・病気が起こる仕組み・自宅ケアの注意点・受診の目安について、獣医師の視点からわかりやすく解説します。
犬の肛門腺とは?なぜ絞る必要があるの?
犬の肛門の左右には「肛門嚢(こうもんのう)」と呼ばれる袋状の構造があり、その中に強いにおいを持つ分泌液が貯留されています。これが一般的に「肛門腺」と呼ばれているものです。
この分泌液は本来、排便時に自然と排出されますが、
- 排出圧が弱い
- 分泌液が濃い
- 道管が細い
といった理由でうまく排出されずに溜まる犬も少なくありません。
溜まったまま放置すると、不快感だけでなく、炎症や感染などのトラブルにつながるため、必要に応じて肛門腺絞りによるケアが行われます。
【豆知識】実は「肛門腺」という解剖学的構造は別に存在します
一般的に「肛門腺」と呼ばれているのは、正確には「肛門嚢(肛門傍洞)の腺」です。
解剖学的に「肛門腺」と呼ばれる構造は、
- 直腸と皮膚の境界に存在する
- 肛門柱帯・中間帯付近に分布する小さな腺組織
を指します。
日常会話や臨床現場では混同されることが多いため、
「肛門腺=肛門嚢」と理解して問題ありませんが、実は厳密には異なる構造という豆知識でした。
※この記事ではわかりやすく「肛門嚢の腺」を「肛門腺」とあえて呼びます。
犬の肛門腺絞りの頻度はどれくらいが適切?
多くの飼い主さんが気になるのが、「犬の肛門腺絞りの頻度」です。
結論から言うと、犬によって大きく異なります。
一般的な目安
| 犬のタイプ | 肛門腺絞りの頻度 |
|---|---|
| 自然に排出できる犬 | 原則不要 |
| 溜まりやすい犬 | 2〜4週間に1回 |
| 肛門嚢炎を繰り返す犬 | 1〜2週間に1回(獣医師と相談) |
「月1回が正解」「週1回が安心」という一律の正解はありません。
厳密にはその子の体質・体型・便の性状・既往歴を考慮し、個別に頻度を調整することが必要です。
肛門腺絞りが必要な犬の特徴
以下のような犬は、肛門腺が溜まりやすく、定期的なケアが必要になりやすい傾向があります。
小型犬
チワワ、トイプードル、ポメラニアン、マルチーズなどの小型犬は排出圧が弱く、自然排出が不十分になりがちです。
肥満気味の犬
脂肪が多いと、肛門周囲の筋肉がうまく働かず、排出力が低下します。
軟便・下痢傾向の犬
便が柔らかいと、肛門嚢が圧迫されにくく、分泌液が残りやすいため注意が必要です。
過去に肛門嚢炎を起こした犬
一度炎症を起こすと、慢性的に再発しやすくなるため、予防的なケアが重要です。
肛門嚢炎は「突然起こる病気」ではありません
閉塞 → 炎症 → 膿瘍形成という連続した病態
肛門嚢炎は、独立した単発の病気ではなく、連続した病態の流れとして発症します。
肛門嚢炎が起こるメカニズム
- 肛門嚢の出口(道管)が閉塞
- 分泌液が排出されずに貯留
- 細菌増殖による炎症
- 重症化すると膿瘍形成 → 破裂
という段階的な経過をたどります。
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肛門腺絞りをサボったから起こるわけではありません
ここは非常に大切なポイントです。
肛門嚢炎は、
「肛門腺絞りをしていなかったから起こる」病気ではありません。
実際には、
- 道管が解剖学的に細い・蛇行している
- 分泌物の粘稠度が高い
- 分泌物の代謝特性
といった個体差による要因が大きく関与しています。
そのため、
定期的に肛門腺を絞っていても、100%予防できるわけではありません。
逆に言えば、
飼い主さんのケア不足が原因ではないケースも非常に多いのです。
肛門腺が溜まっている時のサイン
以下の行動が見られたら、肛門腺が溜まっている可能性があります。
- お尻を床にこすりつける
- お尻を頻繁に舐める
- しっぽを追いかけるように回る
- 排便時に違和感
- 肛門周囲を触ると嫌がる
- 強いにおいがする
これらは、肛門腺絞りの頻度を見直すサインと考えましょう。
自宅で肛門腺絞りはできる?注意点
自宅で肛門腺絞りを行うことは可能ですが、誤った方法は逆にトラブルの原因になりますのでご注意を。
自宅ケアの注意点
- 肛門腺の位置→肛門を中心に4時と8時方向
- 奥から手前にゆっくり引くようなイメージで
- 力を入れすぎる → 炎症・出血・破裂
- 頻繁に絞りすぎる → 慢性炎症・線維化
- 不完全な排出 → 細菌感染リスク増加
特に、すでに肛門嚢炎を起こしている場合の自己処置はやらない方が良いでしょう。
初めての方は、動物病院で正しい方法と適切な頻度を指導してもらうことをおすすめします。
受診すべきタイミング
以下の症状がある場合は、自宅での肛門腺絞りは控え、早めに動物病院を受診してください。
- 肛門周囲が赤く腫れている
- 強い痛みで触れない
- 出血・膿が出ている
- 元気消失・食欲低下
- 繰り返し肛門腺トラブルを起こす
まとめ
- 肛門腺絞りの頻度は犬ごとに異なる
- 目安はお尻を気にする様子があるかどうか
- 小型犬・肥満犬・軟便犬は溜まりやすい
- 肛門嚢炎は連続した病態
- 絞っていても100%予防できるわけではない
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