子猫を保護して飼うことを決めたらどうする?|オルファンキトン(母猫を失った子猫)のお世話の基本

道端や庭先で小さな子猫を見つけると、「助けなきゃ」と思ってしまいますよね。
でも実は、すぐに保護することが必ずしも正解とは限りません。

ここでは、母猫を失った子猫(オルファンキトン)を保護するかどうかの判断基準から、
保護後に必要なお世話のポイントまでを、順番に解説します。

オルファンキトン(Orphan Kittens)とは?

オルファン(Orphan)=母親を失った子猫
母猫が死亡した、育児放棄をした、人為的に引き離されたなど、
母猫の授乳や世話を受けられない状態の子猫を指します。

ここでは、母親からの干渉が必要な3週齢までの仔猫を保護した場合について述べます。

保護する前に知っておいてほしいこと

母猫は「仔猫を置き去り」にしているとは限らない

猫は1回に3〜6匹ほどの仔猫を産みます。野良の父猫は基本的に子育てに加わらず、母猫の力でその子達を育てます。

野良の母猫は、
・危険を感じた
・安全な場所に移動させたい
などといった理由で、仔猫を1匹ずつ別の場所へ運ぶ行動をとります。

その際、移動の途中で仔猫を一時的に置いていく(一時停泊)ことがあります。

つまり「母猫がいない=捨てられている」ではありません。

まずは数時間、静かに見守りましょう

  • すぐに触ったり移動させたりしない
  • 人の出入りを減らす
  • 雨・直射日光・車通りなど明らかな危険がある場合のみ例外的に対応

半日(6~12時間)経っても母猫が戻らない場合
初めて「オルファンキトン」と判断し、保護を検討してください。

本当に命を預かれるかを考えること

上記の通り、仔猫が1匹でいるからといって、必ずしも母猫に捨てられているとは限りません。母猫が餌を探しに一時的に離れているだけ、というケースも少なくありません。
「かわいそう」「何とかしてあげたい」という気持ちは、とても大切で尊い感情です。しかし、すぐに行動に移す前に、静かに見守る時間を持ちながら、少し冷静にご自身の生活環境を振り返ってみてください。

具体的には、次のような点を考える必要があります。

  • 仔猫に費やせる時間
     特に生後3週齢未満の仔猫は、約3時間おきの授乳や排泄の介助が必要で、夜間も含めた継続的なケアが欠かせません。
  • 家族の同意や居住環境の許可
     同居家族全員の理解が得られているか、賃貸住宅の場合はペット飼育が可能かどうかも重要な確認事項です。
  • 初期にかかる医療費
     駆虫、ワクチン、健康診断など、初期医療だけでも1〜3万円以上かかることは珍しくありません。状態によっては、さらに費用が必要になる場合もあります。

これらを考えたうえで、もし「何もしない」という選択をしたとしても、自分はひどいことをしたと責める必要はありません。
野良の仔猫は、街の中にいても本来は野生の世界で生きています。基本的には、人が安易に介入すべき存在ではない、という考え方も大切です。

その仔猫の命を一時的に助けるだけでなく、その後の一生を背負う覚悟と責任を持てるかどうか。
その覚悟が整ったとき、はじめて「保護する」という選択をしてあげてください。

実際に保護してから準備すること

保護する覚悟を決めたら、できるだけ早く以下の準備を進めましょう。
仔猫は見た目以上に体力がなく、環境の変化に弱い動物です。感染症以外で、仔猫の死因として圧倒的に多いのは低体温と低血糖です。この2つをとにかく回避する事を意識しましょう。

① まずは体を温める

仔猫は自分で体温をうまく調節することができません。特に生後3〜4週齢未満の仔猫では、低体温が命に直結する危険な状態になります。
保護したら、まずはダンボールやケージにタオルを敷き、ペットボトル湯たんぽやカイロ(※低温火傷に注意=必ずタオルで包む)などを使って、しっかりと保温してあげてください。

ダンボール内の温度の目安は、週齢によって以下の通りです。

  • 生後0〜1週齢:30〜32℃
  • 生後1〜2週齢:28〜30℃
  • 生後2〜3週齢:26〜28℃
  • 生後3〜4週齢:24〜26℃

※これは「箱の中の空気の温度」の目安です。室温とは別に考えましょう。

また、箱の中すべてを均一に温めるのではなく、暖かい場所と少し涼しい場所を作ることが大切です。仔猫が自分で移動しながら体温調節できるようにしてあげてください。
温度管理のために、小型の温度計をダンボール内に設置することもおすすめです。

なお、体が冷たい状態のままミルクを与えると、消化不良や命に関わる事故につながることがあります。必ず体が十分に温かいことを確認してから授乳するようにしましょう。

② 早めに動物病院を受診する

見た目に元気そうでも、脱水、低血糖、寄生虫感染、感染症などが隠れていることがあります。
体調チェック、週齢判定、今後のケアやワクチン・駆虫のスケジュールについて、必ず相談しましょう。

※動物病院へ受診する際は「保護してその子を育てると決めている」ことをしっかり伝えてください。

③ 安全な隔離スペースを確保する

先住猫や犬がいる場合は、必ず隔離してください。
感染症の予防だけでなく、仔猫のストレス軽減にもつながります。

④ 週齢に合った食事を用意する

仔猫は週齢(生まれてからおよそ何週間経過しているか)によって、適切な食事内容が異なります。
一般的に生後約3週齢までは授乳期
にあたり、仔猫用ミルクのみを与えます。3〜4週齢頃からは離乳期に入るため、ミルクに離乳食(ふやかしたフードなど)を少しずつ混ぜながら、段階的に切り替えていきましょう。

離乳期に入る目安としては、乳歯が生え始めていること体重の増加が順調であること(400g前後)が参考になります。仔猫の様子をよく観察しながら、無理のないペースで進めることが大切です。

以下、週齢の目安です。

月齢体重発達
出生時100–200g授乳期
1週齢200–250g目が開く
2週齢250–300g歩き始め
3週齢350–400g乳歯・離乳期
1か月450–500g自力排尿ができるようになる
6週齢600–800g
2か月950–1000g社会化期
3か月1.0–1.5kg永久歯開始
6か月2.5–3.0kg避妊去勢検討
8か月永久歯完成

授乳期の食事として牛乳は消化不良を起こすため使用できません。
必ず仔猫用ミルクを使用し、週齢に応じた量と回数で与えます。

最近の市販の子猫用ミルクは栄養バランス・安全性ともに非常に優秀です。

ミルクを飲ませる量の目安(あくまで目安)

  • 飲む量が少ない子は1回量を減らして回数を増やす
  • 毎日体重が増えていれば基本的にOK
月齢1回量授乳間隔
生後~1週齢約5cc2~3時間
1~2週齢5~10cc3時間前後
3週齢~15cc以上3~4時間
4週齢~離乳期ミルク+離乳食

哺乳方法:哺乳ビン or シリンジ

◯ 哺乳ビン
  • 自然な姿勢で飲める
  • 顎の筋肉発達に良い
  • 空気を飲み込みにくく、消化不良を起こしにくい

洗浄方法

  1. 使用後すぐにお湯で洗浄
  2. 次亜塩素酸(例:ハイター2ml+水1L)で5分浸け置き
  3. しっかりすすぐ
◯ シリンジ
  • 飲ませた量を正確に把握できる
  • 使い捨て可能
  • 誤嚥に注意して1-2滴ずつ飲ませるようにコントロールする

哺乳後には排尿・排便の刺激を

生生後3〜4週齢頃までは、仔猫は自力で排尿・排便を行うことができません
野生下では、母猫が仔猫の陰部を舐めて刺激することで、排泄を促しています。
母猫のいないオルファンキトン(母猫を失った仔猫)では、この役割を保護主が親代わりとなって行う必要があります。

排泄介助のポイントは以下の通りです。

  • ぬるま湯で湿らせたガーゼやティッシュを使用する
  • 陰部から肛門にかけて、やさしく刺激する
     (トントンと軽く叩くようにする、または撫でるように刺激する)

授乳のたびに、毎回忘れずに行いましょう。

排泄量の目安と注意点
  • 尿
     刺激をすると、ほぼ毎回、無色〜淡い黄色の尿が出るのが一般的です。量は少量でも問題ありません。
  • 便
     毎回出るとは限りませんが、1日1回以上出ていれば概ね正常です。色は黄色〜茶色、形はやや柔らかいペースト状が理想的です。
すぐに相談・受診を検討したいサイン
  • 半日〜1日以上、尿がまったく出ない
  • 2日以上、便が出ない
  • 水のような下痢や、強い悪臭を伴う便が続く
  • 排泄時に強く鳴く、明らかに苦しそうな様子がある
  • 肛門や陰部が赤くただれている

これらの症状がみられる場合は、早めに動物病院へ相談してください。

⑤ 毎日の体重測定

仔猫の健康状態を判断するうえで、毎日の体重測定はとても重要です。
見た目では元気そうに見えても、体重が増えていない場合、ミルク量不足・消化不良・感染症などのトラブルが隠れていることがあります。

体重は、できれば毎日同じ時間帯に測定しましょう。
キッチンスケールなどのデジタルスケールを使い、グラム単位で記録するのがおすすめです。

一般的に、健康な仔猫は1日あたり10〜15g程度体重が増えていきます。
多少の増減は問題ありませんが、連日増えない、または減少している場合は要注意です。

体重が増えないときの考え方

体重が思うように増えない場合、以下の点を確認してください。

① ミルクの量・回数は足りているか

週齢に合ったミルク量が確保できているか、授乳間隔が空きすぎていないかを確認します。
特に夜間の授乳不足は、体重増加不良の原因になりやすいポイントです。

② 体がしっかり温まっているか

低体温の状態では、ミルクをうまく消化できません。
体が温かい状態で授乳できているかを必ず確認しましょう。

③ 下痢や嘔吐がないか

下痢や嘔吐が続くと、摂取した栄養が十分に吸収されません。
便の状態や回数も、体重とあわせて毎日チェックしましょう。

④ 早めの受診をためらわない

体重が2日以上増えない、または減少している場合は、早めに動物病院へ相談してください。
仔猫は状態が急変しやすく、「様子見」が命取りになることもあります。

最後に

仔猫の保護は、「かわいそう」という気持ちだけでは救えない繊細な行為です。
保温・授乳・排泄介助・体重管理という基本を、毎日コツコツ続けることが、命をつなぐ一番の近道です。

不安なこと、分からないことがあれば、一人で抱え込まず、動物病院や専門家に相談することも大切な責任です。
その小さな命に向き合おうとするあなたの行動は、決して間違っていません。

「この子、大丈夫かな?」と少しでも不安を感じたら、遠慮なく動物病院に相談してください。


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