犬を抱っこするとキャンと鳴くのはなぜ?痛がる原因と考え方

犬を抱き上げようとした瞬間に「キャン!」と鳴かれると、飼い主さんはとても不安になります。

実際の獣医療現場でも、

「両脇を抱えるように抱っこしたら痛そうに鳴いた」

という主訴で来院されるケースは少なくありません。

しかし、診察や検査を行っても明らかな病気が見つからないことも多く、
「原因が分からない」と感じてしまう飼い主さんも多いのが実情です。

この記事では、犬が抱っこでキャンと鳴く・痛がるときに考えられる原因を、病気の可能性と病気以外の理由に分けて、動物病院側の視点から分かりやすく解説します。

脇を抱える抱っこは、犬の体に負担がかかりやすい

まず知っておいていただきたいのは、両脇を抱える抱っこは犬にとって決して楽な姿勢ではないという点です。

この抱き方では、

  • 前足が宙に浮く
  • 肩関節が外側に開く
  • 体重が一気に肩・胸・首にかかる

といった状態になります。

そのため、わずかな違和感や不快感でも、鳴いてしまうことがあります。

犬が抱っこでキャンと鳴く|病気がなくても起こる原因

① 肩まわりの動きのクセ・可動域の問題

犬の肩は、人のような関節構造とは少し違い、
肩甲骨が胸に沿って滑るように動くことでスムーズな運動をしています。

脇から抱えると、

  • 肩が外に引き伸ばされる
  • 肩甲骨と胸の動きが一時的に制限される

結果として、
病気ではないけれど「その姿勢だけが嫌」という反応が起こります。

② 筋肉や筋膜の軽い張り(検査に出ない違和感)

以下のような筋肉は、脇抱っこで強く刺激されます。

  • 大胸筋
  • 広背筋
  • 僧帽筋
  • 上腕三頭筋

これらに

  • 軽い張り
  • 疲労
  • 柔軟性の低下

があると、急に伸ばされた瞬間だけ痛みのような反応が出ることがあります。

レントゲンや血液検査では異常が出ないため、「原因不明」に見えやすいポイントです。

③ 皮膚が敏感になっているだけのことも

脇は、

  • 皮膚が薄い
  • 蒸れやすい
  • 神経が多い

という特徴があります。

見た目には皮膚の炎症や外傷がなくても、

  • 軽い擦れ
  • 乾燥
  • かゆみ未満の違和感

があるだけで、掴まれる刺激を嫌がることがあります。
人でも急に脇の下を触られるとビックリする事があるかと思います。あれに近い感覚ですかね。

④ 過去の経験による「体の記憶」

過去に

  • 注射
  • 保定
  • 転倒や打撲

などを脇と関連して嫌な経験していると、
その部位を触られる=嫌なことと脳が覚えてしまう場合があります。

この場合、現在は痛みがなくても、
反射的に「キャン!」と鳴いてしまうことがあります。

⑤ 抱っこの仕方そのものが不安

  • 突然持ち上げる
  • 前足だけ先に浮かせる
  • 毎回抱ち方が違う

こうした状況では、
体が不安定になり、驚きや恐怖で鳴くこともあります。

「ゆっくり抱くと鳴かない」「病院では鳴かない」場合は、この可能性も考えられます。


病気が原因で犬が抱っこを痛がることもあります

もちろん、すべてが「問題なし」で片付けられるわけではありません。

犬が抱っこでキャンと鳴く・痛がる背景には、以下のような疾患が隠れていることもあります

  • 肩関節炎、上腕二頭筋腱炎
  • 肘関節疾患
  • 椎間板疾患(特に小型犬)
  • 頸部の痛み
  • 胸郭や肋骨の炎症
  • 腕神経叢の疾患(炎症・腫瘍)

これらは、初期には

  • 歩き方の異常が目立たない
  • 触診だけでは分かりにくい

こともあり、抱っこしたときだけ痛がるという形で気づかれる場合があります。

犬が抱っこで痛がらないための正しい抱っこのポイント

犬を抱っこするときは、

  • 脇だけで持ち上げない
  • 胸とお尻を同時に支える
  • 背骨を水平に保つ

体全体を面で支えるイメージが大切です。

これだけで、鳴かなくなる犬も少なくありません。

両脇だけを持ち上げる抱っこは犬の身体の負担になる事を覚えておきましょう。

犬が抱っこで痛がるとき|受診をおすすめするケース

以下のような症状がある場合は、病気が隠れている可能性があります。

  • 抱っこ以外でも触ると嫌がる
  • 歩き方がおかしい
  • 前足をかばう
  • 首を動かしたがらない
  • 鳴き方が強くなってきている

気になる場合は、早めに動物病院へご相談ください。

まとめ|犬が抱っこでキャンと鳴くときに大切なこと

  • 犬が抱っこでキャンと鳴くからといって、必ずしも重い病気とは限りません
  • 肩や筋肉、皮膚、抱っこの仕方など、病気以外の原因でも痛がることがあります
  • 一方で、関節や首の病気が隠れている場合もあるため注意が必要です

当院では、抱っこしてキャンと鳴いた場合、まずは数時間の安静管理を行い、それでも同じ状況で再現性がある場合には受診をおすすめしています。

飼い主さんが「気のせいかも」と一人で悩まず、必要なタイミングで相談できることが大切です。


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辻堂・茅ヶ崎市エリアで病気の予防関連でお困りの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。