犬の健康は「腸内環境」から!腸活の基本を知ろう!

こんにちは。湘南Ruana動物病院です。

みなさん、今話題の「腸活」って知っていますか?

私たち人間にとって腸内環境が健康に重要であることが広く知られて来ておりますが、実は犬にとっても同じことが言えるのです!

今日は愛犬の健康を守るために注目すべき「腸活」についてお話しします。愛犬が毎日元気に過ごせるよう、まずは腸活の基本を学んでみましょう!

腸活って何?

「腸活」とは、腸内環境を整えることで全身の健康をサポートする事を言います。

私たち人間の腸内には、沢山の細菌が存在します。犬も私たち人間と同じように100〜500兆個の細菌が存在し、これらの腸内細菌が食べ物の消化や免疫機能、さらには精神的な健康にも関わっていると言われています。このような腸内細菌たちを腸内フローラ(腸内細菌叢)と言います。

腸内フローラが乱れると、消化不良やアレルギー、肥満など、様々な健康問題につながる可能性があります。

犬の腸内環境が健康に与える影響

腸には身体の免疫細胞の約70%が存在すると言われています。

免疫細胞は体外(腸管の中も正確には体外)からの異物に対し体内の免疫を守る働きをします。腸内フローラはこれら免疫細胞に働きかけて、体内の絶妙な免疫バランスを整える形で共存しています。

これが身体にとって有益に働き健康をサポートする菌を「善玉菌」健康に悪影響を与える菌を「悪玉菌」と(便宜上)使い分けて言います。

また「その他の菌」も存在し、これらは善玉菌と悪玉菌の比率に応じて、多い方の味方をする性質があります。

善玉菌と悪玉菌の比率と多様性が大切

理想的なのが善玉菌(2):悪玉菌(1):その他の菌(7)という構成比であり、このバランスが整うと、腸が元気に働き、消化機能や免疫力が向上します。また、善玉菌の中には神経伝達物質の調整やホルモン分泌の調整といった事を間接的に行う菌も存在し、メンタル的な健康や肥満の防止といった働きをサポートします。1つの善玉菌より複数種類の善玉菌が共存する環境の方が、総合的な健康の維持に役立ちます。

悪玉菌が増えすぎると、体にとって有害な物質が増加し、腸内環境が悪化。これにより下痢や便秘や食欲不振といった消化器のトラブルだけではなく、アレルギー性皮膚炎の悪化、ストレスといった問題が発生する事があります。

このように善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れて、悪玉菌が有利な腸内環境になる事をディスバイオシスと言います。

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ディスバイオシスになるとどうなるのか?

ディスバイオシスが進行すると、腸管を保護する粘膜上皮が薄くなってバリア機能が低下し、免疫反応が高まり炎症が起こります。この炎症によって、腸の粘膜に穴が開いて菌や菌体成分が血中に漏れ出し、その血液が全身を巡ることで慢性的な炎症が生じ、さまざまな不調や病気を引き起こします。
ディスバイオシスは、犬において炎症性腸疾患(IBD)アレルギー性皮膚炎などの疾患との関連性を示唆する報告があります。

犬にとって腸活が必要な理由

「身体の免疫力」=「健康状態」は腸内細菌に大きく左右されます。

腸内フローラは、直接的に免疫細胞に働きかける他に、消化酵素を分泌して食べ物を分解したり、ビタミンや短鎖脂肪酸といった重要な代謝産物を生み出したりすることで、身体全体の代謝をサポートしています。腸内環境が整っていると、免疫系が強化されて、病気や感染症への抵抗力が高まることが知られています。

さらに腸内フローラはメンタルヘルスにも影響を与えます。腸内環境が悪化すると、ストレスや不安、行動変化といったメンタル面にも影響が出ることがあります。逆に腸内環境が整っていると、ストレスに対する抵抗力が高まり、犬がリラックスして過ごせるようになります。

腸は脳と密接に関係している事から「第2の脳」とも呼ばれています。

腸活が必要なサイン

愛犬の健康状態が腸内環境に影響を受けているサインを見逃さない事も大切です。

もちろん、症状がなくとも予防的に普段から腸内環境を整える意識は大切です。ただし、以下のような症状が見られる場合は、腸活を特に意識してみると良いでしょう。

  • 皮膚の痒み、アレルギー症状

 腸内環境が乱れると、炎症を制御するTreg細胞が少なくなります。そのために皮膚の炎症(アレルギー)が悪化する可能性があると言われています。

  • 頻繁な下痢や嘔吐や便秘、食欲にムラがある

 腸内環境が悪化すると、腸粘膜が薄くなり、腸の動きも鈍くなり、消化不良や食欲不振、嘔吐、下痢といった症状を繰り返すようになります。

  • 体重の増減が激しい

 腸内環境が乱れると、栄養の吸収効率が変わり、体重の増減が極端になることがあります。

  • 無駄吠えや自傷行為、分離不安

 腸内環境が悪化すると、セロトニンなどの神経伝達物質の調整が効かず、ストレスや不安、行動変化といったメンタル面にも影響が出ることがあります。

腸活を始めるための事前準備

では愛犬の腸活を始めるために、具体的に何をすれば良いでしょうか?

いわゆる「乳酸菌サプリ」や「整腸剤」などで善玉菌を増やす事も大切ですが、その前に普段の生活習慣や食事の工夫を見直す事も重要となります。

バランスの良い食事

腸内環境を整える上で、食事の質は非常に重要です。

糖質や脂質が多いと、腸内酸素レベルが上昇し、相対的に悪玉菌有利な環境となります。愛犬に与えるフードに適切な量の食物繊維を含ませることが重要です。食物繊維は身体の栄養ではなく、腸内環境を整える上で重要です。善玉菌のエサになったり、蠕動運動を適度に促したりする効果があります。完全な手作り食も魅力的ですが、栄養基準を満たす栄養素は25項目もあり、毎日これら全てを網羅するのは中々の労力がかかります。そのため、ベースは「総合栄養食」とし、そこに手作り食を挟んだり、必要に応じてトッピングを加えるといった工夫を行うのが良いかと思います。

また、総合栄養食を選ぶ上では消化管に負担をかけぬよう低脂肪食を意識してみる事も良いかもしれません。

善玉菌を育てる食材として、かぼちゃ、ブロッコリー、バナナ、サツマイモなどお勧めです!

運動習慣の確立

適度な運動は腸の蠕動運動を促進し、消化を助けます。毎日の散歩や遊びを取り入れて、愛犬がストレスなく活発に動けるようにしましょう。運動不足は腸の働きを鈍らせ、食欲不振の原因にもなるため、適度な運動を心がけることが腸活の第一歩となります。

いざ腸活を始めてみよう!

腸活で重要なポイントは

  • 腸内酸素を減らす事
  • 善玉菌を取り入れる事:プロバイオティクス
  • 善玉菌に餌を与え育て、腸に定着させること:プレバイオティクス

上記の3つが大切です。

これらの項目についてはまた次回以降のシリーズで詳しく解説していきます。

藤沢、茅ヶ崎エリアで、愛犬の腸活についてもっと詳しく知りたい方は、湘南Ruana動物病院までご連絡ください。

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