腸活する上で知っておきたい!腸内酸素とディスバイオシスの関係について
腸内にはたくさんの種類の細菌が共存しあって腸内環境を維持しています。理想の腸内フローラ(腸内細菌叢)の比率は善玉菌(2):悪玉菌(1):その他の菌(7)です。そのバランスが崩れた状態をディスバイオシスと言いました。様々な要因で腸内フローラは乱れますが、その大きな要因の一つとして腸内酸素濃度の影響も考えられます。この記事では腸内酸素とディスバイオシスの関係について解説していきます。
細菌と酸素の関係について
腸内酸素の話の前に、細菌と酸素の関係についてお話します。
細菌の分類には、その「生育に酸素を利用するかどうか」で、偏性嫌気性菌、通性嫌気性菌、偏性好気性菌に分かれています。
- 偏性嫌気性菌:酸素のない環境でしか生きられない菌
- 通性嫌気性菌:酸素の有無に関わらず生きられる菌
- 偏性好気性菌:酸素のある環境でしか生きられない菌
「偏性」とは「かたよって」という意味です。偏性嫌気性菌=「かたよって」「気(酸素)」が「嫌い」な菌です。
腸内酸素レベルの上昇がディスバイオシスの原因に
善玉菌の代表格である酪酸菌やビフィズス菌は偏性嫌気性菌(酸素のない環境でしか生きれない菌)に分類され、乳酸菌は通性嫌気性菌に分類されます。一方で、悪玉菌の代表格である大腸菌やブドウ球菌も通性嫌気性菌に分類されます。また、少数ではありますが、腸内においても偏性好気性菌(酸素のある環境でしか生きられない菌)が存在します。よって、腸内酸素レベルが上昇すると、身体にとって有益な酪酸菌やビフィズス菌の生育が困難となり、相対的に悪玉菌が有利な環境(=ディスバイオシス)になります。さらに、腸内酸素レベルの上昇により、本来、少数であったはずの好気性菌が増加します。これもまた腸内細菌叢の構成を変化させ、ディスバイオシスの原因となります。
腸内酸素レベルが上昇する原因は?
腸内酸素レベルが増える原因にはいくつかの要因があります。代表的なものとして
- 炎症
腸に炎症があると、血流が増加し、酸素の供給も増えます。また、炎症に伴い腸粘膜バリアが破鍵することで血中の酸素が腸管内に漏れ出しやすくなります。
- 食事の影響
特に高脂肪食や高糖質食は腸内環境を変え、酸素レベルの変動を引き起こす可能性があります。
- 薬物
非ステロイド性抗炎症薬や特定の化学療法薬などの長期投与は、腸のバリア機能を損なわせ、酸素が腸内に入りやすくなることがあります。また、抗生物質の投与により腸内細菌を殺すことで腸内フローラのバランスを崩すことがあります。これにより酸素を利用する好気性菌が増え、腸内の酸素レベルが上がる可能性があります。
などが挙げられます。
お腹を壊しやすい子や、ジャーキーなど脂肪分が多いオヤツばかり食べる子は腸内酸素レベルが高くなる傾向にあると思われます。
腸内の酸素レベルを減らす方法
では、腸内の酸素を減らすにはどのようにすればよいでしょうか?
キーワードは「短鎖脂肪酸」
善玉菌が可溶性食物繊維(オリゴ糖など)をもとに発酵(酸素を使わない代謝)をおこなう事で短鎖脂肪酸は生成されます。
この短鎖脂肪酸は、腸粘膜バリア機能の回復作用や制御性T細胞の活性による過剰炎症の抑制作用がありますが、腸内酸素レベルを減らす上でも重要となります。短鎖脂肪酸は酸性の物質であり、これが腸内に蓄積する事で腸内pHが低く(酸性)保たれます。酸性環境は酪酸菌やビフィズス菌など嫌気性菌(酸素を嫌う菌)が生育しやすい環境となる一方で、好気性菌(酸素を利用する菌)の活動が抑制されます。その結果、好気性菌による酸素消費量が減り腸内酸素レベルも低下します。さらに、酸性環境は酸素の溶解度を低下させ、酸素が腸内に拡散する速度を抑える効果があります。これらの効果により腸内の酸素レベルが低くなります。また、短鎖脂肪酸の一種である酪酸は大腸の粘膜上皮細胞の代謝を促して、血管から送られてくる酸素を消費し、大腸内の酸素濃度を低下させることがわかっています。
まとめ
・ディスバイオシスの原因の1つとして腸内酸素レベルの上昇がある。
・腸内酸素レベルが上がると、身体に有益な多くの善玉菌(嫌気性菌)が減り、相対的に悪玉菌が有利な状態となる。
・腸内酸素レベルを下げるには短鎖脂肪酸が有効。
短鎖脂肪酸上昇→腸内pH低下(酸性)→腸内酸素レベル減少→好気性菌の減少→相対的に嫌気性菌(善玉菌)が増えやすくなる。
今回は腸活する上で知っておきたい、腸内酸素とディスバイオシスの関係について解説させて頂きました。
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