雄猫がかかりやすい病気とは?性差に注目した健康管理のポイント
猫の病気の中には、性別によって発症しやすさに差が出る疾患がいくつか知られています。特に雄猫は、尿路や行動学的な問題を中心に、雌猫とは異なるリスクを抱えていることが明らかになっています。
本記事では、雄猫に多い代表的な病気の特徴・発症率・予防法について、信頼性のある文献とともに解説します。
雄猫に多い病気と発症率データ
1. 尿道閉塞(下部尿路疾患)
発症傾向と統計
- 雄猫は尿道が細く長いため、膀胱炎や尿石症に伴う閉塞のリスクが高い。
- 尿道閉塞を起こした猫の90%以上が雄(Hesse KL et al., 2011)。
- 発症ピークは1〜8歳の若齢〜中年齢の雄猫。
- 肥満・ストレス・ドライフード中心の食事もリスク因子。
2. 攻撃性・スプレーなどの問題行動(特に未去勢雄)
特徴と統計
- 雄猫(特に未去勢)はテリトリー意識が強く、尿スプレーや攻撃的行動が目立つ。
- 未去勢雄猫の90%以上がスプレー行動を示すとされており、去勢によって約80%が改善(Hart BL, 1976)。
- 性ホルモンによる行動の変化が関与。
3. 閉塞性肥大型心筋症(HCM)
性差による傾向
- HCMは猫において最も一般的な心疾患。
- 雄猫の罹患率が雌より2倍近く高いという報告あり。
- 発症年齢は**中年齢(5〜8歳)**が多く、メインクーン・ラグドールなどの大型長毛種に多い。
4. 会陰ヘルニア(主に高齢未去勢雄)
特徴と統計
- 直腸周囲の筋肉が緩み、腹腔内容が会陰部に脱出する疾患。
- 発症例のほとんどが未去勢の雄猫。
- 排便困難・しぶり・会陰部の腫脹などが主症状。
- 発症は10歳以上の高齢猫が多い。
雄猫の疾患傾向とホルモン・解剖の関係
雄猫に特有の疾患傾向には、以下のような要因が関与しています。
- 細長く狭い尿道 → 尿閉・尿石のリスク
- テストステロンの影響 → 行動異常・会陰筋の構造変化
- 大型品種でのHCM遺伝的リスク
これらは、性差という先天的要因だけでなく、去勢の有無や生活環境とも密接に関係しています。
飼い主さんへのアドバイス
● 尿トラブルの予防には「水分・ストレス管理」がカギ
- ウェットフードの併用や自動給水器の導入
- トイレの清潔保持と数の確保(猫の数+1以上)
● 若齢期の去勢は行動・病気の両面で有効
- 攻撃性・スプレー対策だけでなく、尿閉・会陰ヘルニアの予防にもつながります。
● 定期的な聴診や心エコー検査も検討を
- 大型猫や血統書付きの猫では心筋症スクリーニングが推奨される場合もあります。
まとめ
雄猫はその構造的・ホルモン的な特徴から、尿道閉塞、問題行動、肥大型心筋症、会陰ヘルニアといった疾患にかかりやすい傾向があります。
早期の去勢手術や日々の観察、定期検診によって、こうしたリスクは大きく軽減可能です。
大切な愛猫の性別や年齢に合わせたケアで、健康で長生きな生活をサポートしていきましょう。
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