猫の食欲低下は要注意|肝リピドーシスの危険性と早期対応の重要性
「猫がごはんをあまり食べないけど、様子を見ても大丈夫かな?」
そんなふうに思っていませんか?
実は猫の食欲不振が数日〜1週間以上続くと、**命に関わる重篤な病気「肝リピドーシス(脂肪肝)」**を引き起こすリスクがあります。この記事では、猫の食欲低下がなぜ危険なのか、肝リピドーシスの特徴や早期発見のポイント、治療や予防法について、飼い主の方にわかりやすく解説します。
肝リピドーシスとは|猫に特有の脂肪肝疾患
肝リピドーシスとは何か
肝リピドーシスとは、肝臓に過剰な脂肪が蓄積することで、肝機能が著しく低下する病気です。特に猫に多く見られ、治療が遅れると命に関わる疾患とされています。
なぜ猫に多い?
猫は本来、空腹時の代謝(エネルギー変換)が苦手です。食事からのエネルギー供給が減ると、体内の脂肪を急激に分解して肝臓に送ります。しかし、肝臓が処理しきれない脂肪がどんどん溜まり、機能不全に陥ってしまうのです。
食欲不振が危険な理由|発症のきっかけと進行
1〜2週間で重症化することも
猫の肝リピドーシスは、数日間の食欲不振(または摂取量の低下)から始まり、1〜2週間ほどで重度の肝機能障害に進行するケースが多いです。
次のような猫では、発症リスクが特に高まります:
- 肥満体型の猫
- 高齢の猫
- 慢性疾患を抱える猫(糖尿病・腸疾患など)
- 環境の変化やストレスを受けた猫(引越し、ペットホテル後、新しい家族が増えた等)
「まったく食べない」だけでなく「食べる量が減った」も危険信号
一見少し食べているように見えても、必要なカロリーを満たしていない状態が続くこと自体がリスクとなります。
「少ししか食べていない」「おやつだけ食べてフードを残す」といった状態が数日続いたら、早めの受診をおすすめします。
肝リピドーシスの症状|早期発見のためのチェックポイント
以下のような症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。
- 食欲不振が数日以上続く
- 元気がなく、寝てばかりいる
- 嘔吐や体重の急激な減少
- 黄疸(歯ぐき・耳の内側・皮膚が黄色く見える)
- よだれが増える
- 便秘や脱水
- 隠れる時間が増えた、反応が鈍い
診断と治療|肝リピドーシスは早期介入がカギ
検査でわかること
動物病院では、以下のような検査を行い診断します:
- 血液検査(肝酵素やビリルビンの上昇)
- 超音波検査(肝臓のサイズ・脂肪沈着の確認)
- X線検査(肝腫大の確認)
治療の中心は「栄養サポート」
肝リピドーシスの治療において最も重要なのは、十分なカロリーを確保することです。食欲が戻るまでは以下のようなサポートが必要になることがあります:
- 強制給餌(シリンジや療法食ペースト)
- 経鼻カテーテルまたは食道チューブの設置
- 輸液による脱水・代謝異常の補正
- 肝臓を保護するための内服薬やサプリメント
治療には数週間〜1か月以上かかる場合もありますが、早期に介入すれば回復が十分見込める病気です。
飼い主にできる予防と早期対応のポイント
1. 毎日の食事量をチェックする習慣を
食事量の変化は、体調不良の最初のサインです。残した量や好みの変化にも注意を払いましょう。
2. ストレスの少ない環境づくりを
猫は環境の変化にとても敏感です。引っ越しや来客、新入り猫の登場などが原因で食欲が落ちることもあります。安心できる静かなスペースを整えてあげましょう。
3. 肥満猫のダイエットは慎重に
肥満は肝リピドーシスのリスク因子ですが、急激なダイエットは危険です。食事管理は必ず獣医師の指導のもとで行いましょう。
まとめ|「少し食べないだけ」と侮らないで
猫の食欲不振は、放置すると重度の肝疾患につながる重要なサインです。
とくに食欲が落ちた状態が数日〜1週間続く場合は、できるだけ早く獣医師の診察を受けることが大切です。
愛猫の健康を守るために、日々の食事チェックと早期対応を習慣にしましょう。
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