自宅でも犬が熱中症に!AI(人感センサー)エアコンの落とし穴と対策法

夏になると「熱中症に気をつけて!」という案内をよく目にします。熱中症は屋外で起こるものと思われがちですが、実は室内でも発生します。
「犬は暑さに弱いから、夏の間はエアコンをつけておけば安心」
そう思いますよね?しかし当院では、冷房をきちんと入れていたにも関わらず、自宅で熱中症になってしまった犬の症例を何件か経験しています。
それらに共通していた事が、「AI(人感センサー)モード」で運転していたエアコンでした。
この記事では、なぜAIエアコンで犬が熱中症になるのか、そしてそれを防ぐための工夫について解説します。
犬は人よりずっと暑がり
犬は汗腺が発達しておらず、人間のように汗をかいて体温を下げることができません。犬は主にパンティング(口を開けてハアハアと呼吸すること)で体の熱を逃がします。
そのため、人にとって快適な室温でも、犬にとっては暑すぎることが少なくありません。
一般的に、犬が快適に過ごせる温度は22〜26℃、湿度は50%前後とされています。
さらに、犬の体格や年齢、持病によって熱中症のリスクは大きく変わります。特に以下のような犬は要注意です。
- 軟口蓋(喉ちんこ)や舌が奥に垂れ下がる犬:短頭種(フレンチブルドッグ、パグなど)、肥満犬
- 高齢犬
- 心臓病や呼吸器疾患を持つ犬
これらの犬は熱を逃がす能力が低く、室温が28℃前後でも熱中症になる危険があります。
AIエアコンの落とし穴

最近のエアコンには「AIモード」や「自動運転」機能があり、室内の人感センサーをもとに温度を快適になるよう調整します。
しかし、ここに犬にとっての危険ポイントがあります。
- 犬が(動かないと)検知されない
人感センサーは人間の動きを感知して温度調整するようです。しかし、犬が寝ていたり、同じ場所でじっとしていると「不在」と判断されて冷房が弱まることがあります。メーカーによっては犬や猫などの小動物は感知しないと明記してくれているエアコンもありました。 - そもそも室内では下の方が暑くなりやすい
冷たい空気は重いため、本来は床付近にたまりやすいものです。
しかし、家庭用エアコンは天井近くに設置され、風が上から吹き出すため、冷気が十分に循環しなければ床までは意外と冷えません。さらに、間取りや家具の配置によっては、下まで冷気が届かないこともあります。 - 湿度管理が不十分
犬の熱中症は、室温の高さだけではなく湿度の高さにも大きく影響されます。
特に藤沢・茅ヶ崎エリアでは、海に近いこともあり、室内の湿度が都内より高い傾向があります。
湿度が高いとパンティング(口を開けての呼吸)による放熱がうまくできず、室温を低めに設定していても熱中症の危険があります。
さらに、エアコンをつけていても床付近は空気の流れが少なく、湿度がこもりやすいため注意が必要です。
室内熱中症が起こった実例
当院で実際に遭遇した室内熱中症の一例をご紹介します。
- 室温はエアコンの表示で「26℃」
- 人感センサー(AIモード)でのオート設定。
- 短時間お留守番させ、帰宅したらパンティングが止まらない状態だった。
その後、嘔吐が認められ、来院した時には「体温が40℃を超え」「チアノーゼ」「意識レベルが低下」した状態でした。幸い早期治療で回復しましたが、一歩間違えば命に関わる状態でした。
飼い主様から詳しくお話を伺ったところ、外出前は室内が比較的涼しく快適な状態だったものの、帰宅時には少し蒸し暑く感じられたとのことでした。人感センサーによってエコモードに切り替わってしまった可能性が考えられました。
室内でも熱中症になるサイン
- パンティングが止まらない
- よだれが多い
- 目を見開いて落ち着きがない
これらの症状が見られたら、まずは涼しい場所へ移動し、体を冷やしながら動物病院に連絡してください。
室内熱中症を防ぐためのエアコン設定のポイント
- 設定はAIモードではなく冷房固定
- エアコンの設定温度=室温にはならない
- 犬がいる部屋は24〜26℃設定が目安(湿度は50%前後)
- 留守番中はサーキュレーター併用
- 冷気を循環させることで温度ムラを防げます。また風の流れが生じる事で下方の湿気対策にもなります。
- 水分補給を忘れずに
- いつでも新鮮な水が飲める環境を整えてください。
- カーテンや遮光で日差し対策
- 直射日光で室温上昇を防ぎます。
- 冷感マットやクールベッドを活用
- 体温を下げるサポートに。
- 温度計/湿度計を犬のケージ付近に設置
- 温度計/湿度計を犬の目線場所に設置することで細かい調節を心がけましょう。
茅ヶ崎市バージョン:昼と夜のエアコン設定(例)
茅ヶ崎市や藤沢市などの海沿い地域では、昼夜の寒暖差が大きく、エアコン設定にもひと工夫が必要です。熱中症を心配するあまり設定温度を下げすぎると、かえって体調を崩す原因になることがあります。
特に「昼夜の寒暖差が大きい」「湿度が高い」といった湘南エリア特有の環境では、適切な温度と湿度のバランスを意識したエアコン設定が大切です。例えば、以下のようにエアコン設定を使い分けてみてはいかがでしょうか?
時間帯 | エアコンの運転モード | 設定温度 | 補足 |
昼(10〜18時) | 冷房(除湿機能併用)+サーキュレーター | 24〜26℃ | 室温があがりやすい時間。除湿も重要です。 |
夕方〜夜(18〜22時) | 冷房or除湿 | 25〜27℃ | 外気が少し下がるため、設定温度はやや高めに |
深夜〜早朝(22時〜7時) | 自動orドライor OFF+サーキュレーター | 27℃前後 or 停止 | 外気温が下がるため、冷えすぎ注意。湿度が高ければ除湿を続ける。 |
まとめ
AIエアコンは便利ですが、犬の快適温度とは一致しないことがあります。
「表示温度」や「設定」だけを信用せず、実際の室温と湿度を測って管理することが大切です。
愛犬が家にいるときは、AIモードではなく冷房固定+温湿度管理(サーキュレータの使用)を習慣にしましょう。
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茅ヶ崎市・藤沢市エリアで愛犬・愛猫の急な体調の悪化などがみられる場合は、湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までご相談ください。