猫の開口呼吸の原因とは?見逃さないためのサインと対処法
猫が普段は鼻で呼吸しているのに、口を開けて呼吸している姿を見たことはありませんか?
開口呼吸は猫にとって正常な時でも起こりますが、健康上の重大なサインであることがあります。本記事では、猫の開口呼吸の原因や家庭でできる対処法、受診の目安についてわかりやすく解説します。
猫の開口呼吸とは?
猫は通常、鼻から呼吸を行う動物です。口を開けて呼吸する「開口呼吸」は、呼吸が苦しいときや心肺機能に負担がかかっているときに見られる症状です。
開口呼吸は以下のような状態を伴うことがあります:
- 舌が出ている
- 息が荒く、呼吸が速い
- 横になれず、前傾姿勢や胸を張った姿勢で呼吸する
これらは猫にとって大きなストレスであり、放置すると命に関わる場合もあります。
猫の開口呼吸の原因
開口呼吸の原因は大きく分けて「呼吸器系」「心臓・循環器系」「その他の要因」に分類できます。
1. 呼吸器系の問題
- 肺炎や気管支炎
感染症によって肺や気管支に炎症が起きると、呼吸が困難になり開口呼吸が出ることがあります。 - 胸水や肺水腫
肺や胸腔に水がたまると、酸素の取り込みが困難になり呼吸が荒くなります。 - 喉頭や鼻腔の腫瘍・異物
喉や鼻の通りが悪くなることで呼吸が困難になり、口呼吸に移行することがあります。
2. 心臓・循環器系の問題
- 心筋症(特に肥大型心筋症)
猫では心臓の筋肉が厚くなる肥大型心筋症が多く、心臓のポンプ機能低下により肺に水がたまりやすくなります(肺水腫)。その結果、開口呼吸が見られることがあります。
3. その他の原因
- 発熱やショック状態
全身状態が悪化すると、呼吸が速くなり口呼吸になることがあります。 - 痛みやストレスや興奮
強い痛みやストレスや興奮時でも開口呼吸の原因になります。
家庭でできる対処法
猫の開口呼吸を見つけた場合、家庭でできる対応は限られます。以下の点に注意してください:
- 落ち着ける環境を作る
猫を抱き上げたり追いかけたりせず、静かで涼しい場所に安置します。 - 呼吸を観察する
開口呼吸の頻度や速さ、体の姿勢、舌や口の色(ピンクか紫色か)を確認します。 - 無理に水や食事を与えない
呼吸が苦しい状態で食事や水を与えると、誤嚥のリスクがあります。
受診の目安
猫の開口呼吸は「緊急性の高い症状」です。以下のような場合は、すぐに動物病院へ連絡してください:
- 呼吸が非常に荒く、舌や口の中が紫色になっている
- 横になれず、前傾姿勢で呼吸している
- 元気がなく、ぐったりしている
- 嘔吐や咳、失神などの症状を伴う
受診時には、開口呼吸の観察状況(時間、頻度、姿勢、色など)をメモして持っていくと診断がスムーズになります。
獣医師による診断と治療
動物病院では、開口呼吸の原因を特定するために以下の検査が行われます:
- 身体検査:呼吸音、心拍、体温などのチェック
- レントゲン検査:肺や心臓の状態を確認
- 血液検査:感染症や炎症、心不全の指標を評価
- 超音波検査(心エコー):心臓の構造や機能を評価
治療は原因に応じて行われます。肺水腫や心不全の場合は酸素療法や利尿薬が用いられ、感染症には抗生物質、腫瘍や異物には手術が必要となる場合があります。
まとめ
- 猫の開口呼吸は自然な行動ではなく、呼吸器や心臓などの重大な異常のサインである
- 原因は肺炎、胸水、心筋症、腫瘍、ストレスなど多岐にわたる
- 家庭でできることは落ち着いた環境作りと呼吸観察に限られる
- 舌や口の色が紫色になる、横になれない、ぐったりする場合は緊急受診が必要
猫の開口呼吸は「見逃さないこと」が最も大切です。早期に獣医師に相談することで、命を守る手立てにつながります。愛猫の呼吸に少しでも異変を感じたら、すぐに行動してください。
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