猫の肛門腺が破裂する原因と対処法|早めに受診すべきサインとは
肛門腺のトラブルは犬ではよく知られていますが、実は猫でも起こる病気です。とくに破裂まで進行すると強い痛みや感染を伴い、放置すると重症化することもあります。本記事では、猫の肛門腺破裂の原因、症状、家庭でできるケア、そして動物病院を受診すべき目安について解説します。
猫の肛門腺とは?
猫の肛門の両脇(4時と8時の方向)には小さな袋状の器官「肛門腺」があります。この肛門腺には分泌物がたまり、排便時や強い緊張時に外へ排出されます。分泌物には個体ごとの匂いがあり、猫同士のマーキングやコミュニケーションにも関わっていると考えられています。
通常は自然に排出されるため問題になりませんが、排出がうまくいかないと「肛門腺が詰まる→炎症→膿がたまる→破裂」と進行することがあります。
猫の肛門腺が破裂する原因
猫における肛門腺破裂の主な原因は以下の通りです。
1. 排出不全(分泌物の滞留)
体質や生活環境によって肛門腺がうまく排出されず、分泌物が溜まってしまうことがあります。特に肥満猫や運動不足の猫に多く見られます。
2. 細菌感染
分泌物がたまると細菌が繁殖しやすくなり、肛門嚢炎(肛門腺の感染症)を起こします。その結果、膿がたまり、圧がかかって皮膚が破れてしまうのです。
3. 体質や年齢
犬と比べると猫の肛門腺トラブルは少ないですが、特定の猫では繰り返しやすく、シニア猫になるとトラブルが増えることもあります。
猫の肛門腺破裂の症状
肛門腺破裂の兆候を早期に見抜くことが大切です。以下のような症状が見られたら要注意です。
- おしりを床に擦りつける(スライディング動作)
- 肛門の周りをしきりに舐める、噛む
- 肛門の横が赤く腫れている
- 膿や血がにじんでいる
- 強い悪臭がする
- 排便時に痛がる、トイレを嫌がる
破裂が起こると、皮膚に穴があき膿が出てきます。放置すると細菌感染が拡大し、発熱や元気消失につながることもあるため注意が必要です。
肛門腺破裂したときの対処法
もし猫の肛門腺が破裂してしまったら、まずは以下の対応が大切です。
1. 自宅での応急処置
- 無理に触らず、清潔を保つことが第一です。
- 出血や膿があっても強く拭かず、やさしくぬるま湯で洗浄する程度にしましょう。
- 消毒薬を自己判断で使用するのは避けてください。猫は皮膚が敏感で、人用の薬品はかえって悪化させる可能性があります。
2. 動物病院での治療
動物病院では以下のような処置が行われます。
- 膿や分泌物の排出・洗浄
- 抗生物質や消炎鎮痛薬の投与
- 重度の場合は外科的処置(切開・ドレナージ)
再発を繰り返す場合は肛門腺の摘出手術が検討されることもあります。
動物病院を受診すべき目安
次のような場合は早めに受診してください。
- 肛門の横が赤く腫れている
- 膿や血が出ている
- おしりを気にして落ち着かない
- 悪臭が強い
- 発熱や食欲不振を伴っている
猫は痛みを隠す傾向があるため、軽症に見えても意外と進行しているケースが少なくありません。破裂してからの治療より、腫れてきた段階での早期受診が負担も少なく済みます。
肛門腺破裂の予防法
再発を防ぐためには日常のケアが重要です。
- 定期的に肛門腺をチェックする(動物病院での絞りが推奨)
- 適度な運動と体重管理
- 定期健診でおしり周りを診てもらう
飼い主が無理に肛門腺を絞ろうとするとケガや感染のリスクがあるため、動物病院でのケアをおすすめします。
まとめ
猫の肛門腺破裂は放置すると感染が広がり、強い痛みや全身症状を引き起こすこともある病気です。
- 原因は排出不全や感染、便の異常などが関与
- 症状はおしりを擦る、腫れ、膿や悪臭など
- 破裂したら清潔を保ち、すぐに動物病院へ
- 予防には定期的なチェックと便の健康管理が大切
猫の肛門腺破裂という言葉を耳にして心配になった方は、ぜひおうちの猫ちゃんのおしりの様子を観察してみてください。早めの受診で、痛みや再発のリスクを大きく減らすことができます。
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