犬猫の肝臓病のサインとは?早期発見のために気づいてほしい症状

はじめに

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、病気が進行するまで症状が出にくい臓器です。
しかし、犬や猫の肝臓病は早期に気づき、治療を始めることで回復が期待できる病気も少なくありません。
今回は、飼い主さんが気づける「肝臓病のサイン」と、動物病院で行われる検査・治療について解説します。


犬猫の肝臓の役割

肝臓は体の「化学工場」のような役割を担い、以下のような重要な働きをしています。

  • 栄養素(糖・脂肪・タンパク質)の代謝
  • 有害物質の解毒
  • 胆汁の生成(脂肪の消化に必要)
  • 血液の凝固因子の合成

これらの機能が低下すると、体のさまざまな部分に影響が出てきます。


犬猫の肝臓病でよく見られるサイン

肝臓は再生能力が高い臓器であるため、かなりの障害を受けてからでなければ症状としてあらわれず「沈黙の臓器」とも言われます。しかし、一定以上の障害を受けると、次のような症状がみられます。

① 食欲がない・元気がない

最も多い初期症状です。肝臓の働きが落ちると、食欲や活力に影響します。
一時的な食欲不振と思って放置すると、肝酵素の上昇が進んでいるケースもあります。

② 嘔吐や下痢が続く

肝臓病が進むと、消化機能にも影響が出ます。
特に黄色っぽい嘔吐脂っぽい軟便が見られる場合は、胆汁や脂肪代謝の異常が関係していることも。

③ 黄疸(皮膚や白目が黄色い)

肝臓病の代表的なサインです。
ビリルビンという色素が体内に蓄積することで、白目や歯ぐき、耳の内側が黄色く見えます。
猫では毛に隠れて見逃されやすいので注意が必要です。

④ 尿の色が濃い・便が白っぽい

肝機能の低下により、胆汁の流れが悪くなると尿の色が濃く(茶褐色〜オレンジ色)、便が白っぽくなることがあります。
この場合は胆道閉塞や胆泥症なども疑われます。

⑤ 体重減少・筋肉の減り

慢性的に肝臓の働きが悪くなると、代謝障害により筋肉量が落ちて体が痩せてくることがあります。
高齢の犬猫では特に注意が必要です。

⑥ 神経症状(ふらつき・ボーッとする)

肝臓が解毒できなくなり、血液中のアンモニアが増えると、肝性脳症を起こすことがあります。
意識がもうろうとする、旋回する、ふらつくなどの症状が見られるときは緊急受診が必要です。


動物病院での検査内容

肝臓病が疑われた場合、以下のような検査を行います。

  • 血液検査:ALT、AST、ALP、γ-GTP、T-Bil、アンモニアなど
  • 腹部エコー検査:肝臓の形や質感、胆嚢の状態、腫瘍の有無を確認
  • レントゲン検査:肝臓のサイズや位置の異常を確認
  • 必要に応じて細胞診や生検

これらを組み合わせて、肝炎・胆嚢炎・胆泥症・腫瘍・シャント(門脈体循環シャント)などを鑑別します。


治療と自宅でのケア

肝臓病の治療は、原因と重症度によって異なります。

  • 食事療法:高品質なタンパク質・低銅食など、肝臓に負担をかけないフード
  • 薬物療法:肝保護剤(ウルソデオキシコール酸、S-アデノシルメチオニン、シリマリンなど)
  • 点滴・輸液療法:脱水やアンモニア上昇時に実施
  • 原因治療:感染症、胆泥症、腫瘍などがあればそれに応じた治療を行います

また、自宅では定期的な血液検査と体重管理が重要です。
元気・食欲・尿や便の色を日々チェックしておくと、早期発見につながります。


まとめ:小さな変化を見逃さない事と定期検診が肝臓を守るカギ

肝臓病は初期の段階では症状がほとんど出ません。そのため、初期段階を見抜く上では動物病院での健康診断が重要です。
食欲不振・黄疸・尿の変化といった小さなサインに気づくことで、早期治療が可能になります。
定期的な健康診断と血液検査で、愛犬・愛猫の「沈黙の臓器」を守ってあげましょう。

より詳しいコラム記事はこちら↓↓

LINE友だち追加で診察予約・最新情報がチェックできます!!




茅ヶ崎市・藤沢市エリアで犬猫の消化器症状でお困りの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。