子猫の下痢に注意!考えられる症状・鑑別疾患・受診の目安

「うちの子猫、うんちがゆるい…」「トイレの中がいつもより臭う」
そんなとき、つい“様子を見よう”と思ってしまうかもしれません。
しかし、子猫の下痢は命に関わるサインになることもあります。

この記事では、子猫の下痢の症状・鑑別疾患・受診の目安をわかりやすく解説します。


子猫の下痢で見られる症状とは?

子猫の下痢といっても、月齢や、下痢の性状や頻度によって重症度は異なります。
次のような様子が見られたら注意しましょう。

  • 3ヶ月齢未満の子猫
  • 水っぽい・血が混じっている便
  • 食欲がない、または食べてもすぐ下痢する
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 強い臭いのある便

子猫は体重あたりの水分量が少なく、下痢をするとすぐに脱水状態になってしまいます。また、特に3ヶ月齢未満の子猫では肝機能がまだ十分に発達していないため、糖を蓄積・維持する事ができず容易に低血糖を引き起こしてしまいます。
元気や食欲の低下が見られる場合は、早めに受診することが大切です。


子猫の下痢で考えられる鑑別疾患

子猫の下痢にはさまざまな原因があり、1つの症状でも多くの鑑別疾患が考えられます。
主なものを原因別に紹介します。

① 食事性の下痢(急なフード変更・食べすぎ)

急にフードを変えた場合や、冷たいミルク・人間の食べ物を口にしたときに下痢を起こすことがあります。
この場合は一時的な下痢であることも多いですが、体力のない子猫では注意が必要です。
若猫(6〜12ヶ月齢)以上の猫では食物に含まれる食物繊維に反応して改善するタイプの下痢(繊維反応性下痢)もしばしば見られます。

② 寄生虫感染

子猫の下痢で最も多い原因の一つです。
回虫、コクシジウム、ジアルジアなどが代表的で、下痢や血便、体重増加不良を引き起こします。
・ブリーダーや保護猫出身の子猫では特に頻度が高く、便検査で診断されます。

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③ 細菌・ウイルス感染

猫パルボウイルス感染症(汎白血球減少症)は命に関わる重篤な感染症です。
 激しい下痢、嘔吐、発熱、白血球減少などがみられます。
大腸菌、サルモネラ、カンピロバクターなどの細菌感染も下痢の原因になります。
 これらは衛生環境や他の猫からの感染で起こることがあります。
猫コロナウイルス感染症も下痢の原因になります。
 環境ストレスや免疫力の低下により猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症する事があるので注意が必要です。

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④ 寄生虫や感染症以外の消化器疾患

・腸の未発達による消化不良
・食物アレルギー
・膵外分泌不全(消化酵素が足りず、脂っぽい下痢)

このような場合は慢性的な下痢として経過することがあり、早期診断が重要です。

⑤ 環境ストレス

引っ越しや多頭飼育、急な温度変化などでストレス性の下痢を起こす子猫もいます。
軽度であれば数日で落ち着くこともありますが、他の症状を伴う場合は受診を。


自宅での対処法と受診の目安

【一時的な下痢で様子を見ても良い場合】

  • 元気・食欲があり、水もよく飲んでいる
  • 軽い軟便で、血や粘液が混じっていない
  • フード変更など原因が思い当たる

この場合は、1日程度絶食(※若猫以上のみ)し、整腸作用のある療法食を与えて様子を見ます。
ただし、24時間以内に改善しない場合や、繰り返す場合は必ず受診しましょう。

【すぐに動物病院を受診すべき症状】

  • 水のような下痢が続く
  • 嘔吐を伴う
  • 元気がなくぐったりしている
  • 血便や黒色便(消化管出血)
  • 食欲が全くない
  • 体温が高い・または低い(35℃以下)
  • 体重が減っている

これらは、重度の脱水・感染症・寄生虫症・中毒などが疑われます。
特に子猫では数時間単位で体調が悪化するため、夜間や休日でも受診が必要なケースもあります。


■ 動物病院での検査と治療

動物病院では、まず便の状態や生活環境、食事内容を詳しく聞き取り、
次のような検査を行います。

  • 便検査(寄生虫卵や原虫の確認)
  • 血液検査(炎症・脱水・感染の評価)
  • 超音波検査(腸や臓器の異常)
  • ウイルス検査(パルボウイルスなど)

治療は原因によって異なりますが、
主に以下のような対応が行われます。

  • 点滴による脱水の改善
  • 寄生虫駆除薬の投与
  • 抗菌薬や整腸剤の投与
  • 食事療法(消化の良い療法食への切り替え)

感染症や重度脱水の場合は入院が必要になることもあります。


■ 予防と日常ケア

子猫の下痢を防ぐためには、生活環境と食事管理が大切です。

  • 清潔なトイレと寝床を保つ
  • 急なフード変更を避ける(1週間ほどかけて徐々に切り替える)
  • 保温を心がける(特に冬場の子猫は冷えやすい)
  • 定期的な便検査・ワクチン接種・駆虫を行う

また、拾ったばかりの子猫や新しく迎えた猫は、健康チェックのために一度動物病院で診てもらいましょう。


■ まとめ|子猫の下痢は軽視しないで!

子猫の下痢はよくある症状のように見えても、月齢や症状によっては命に関わる病気のサインであることも忘れてはいけません。
とくに、「元気がない」「食べない」「繰り返す」場合は、早めに動物病院へ。

小さな体に大きな変化が起きる前に、早期発見・早期治療で健康を守りましょう。

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茅ヶ崎市・藤沢市エリアで犬猫の消化器症状でお困りの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。