猫の心臓病は静かに進む?健康診断で見つかる異常とは?
「元気そうに見えるのに、健康診断で“心雑音があります”と言われた…」
そんな経験をされた飼い主様は少なくありません。
実は猫の心臓病はとても静かに進行する病気で、症状が現れたときにはすでに重症化していることもあります。
今回は、猫の心臓病が見つかるきっかけや、健康診断でチェックできる異常、早期発見のポイントをわかりやすく解説します。
猫の心臓病とは?静かに進行する理由
猫の心臓病の多くは「肥大型心筋症(HCM)」という病気で、心臓の筋肉が厚くなることで心臓の働きが徐々に低下していきます。
この病気の厄介な点は、初期にはほとんど症状が出ないことです。
猫はもともと不調を隠す性質があるため、
・呼吸が少し速い
・動きたがらない
・食欲が落ちる
といったわずかな変化も見逃されやすく、気づいたときには肺水腫や血栓塞栓症といった重い合併症を起こしていることもあります。
健康診断で見つかる心臓の異常サイン
定期的な健康診断は、こうした「静かに進む心臓病」を早期に見つけるための重要なチャンスです。
診察や検査で以下のような異常が見つかることがあります。
1. 聴診で「心雑音」や「不整脈」が聞こえる
心臓病の初期段階で最も多い異常が心雑音です。
健康診断中に「雑音が聞こえる」と指摘された場合、心臓に負担がかかっている可能性があります。
ただし、猫では雑音がなくても心筋症を引き起こしている事もあるため、心雑音がない=心臓病がないとは言い切れません。
2. 胸部レントゲンで心臓の形が大きい・丸い
レントゲン検査では心臓の大きさや形、肺の状態が確認できます。
心臓が丸みを帯びて拡大していたり、血管が太く拡張している場合は心臓のうっ血が生じてきている可能性が考えられます。
しかし、猫で多く見られる肥大型心筋症では求心性肥大(心臓の内側へ向かって肥大)が特徴的なため、レントゲン検査では初期病変を検出できない可能性があります。
3. 超音波(エコー)検査で心筋の厚みをチェック
心エコー検査では、心筋の厚み・心臓の動き・血液の流れをリアルタイムで観察できます。
肥大型心筋症では、左心室の壁が厚くなり、血液の流れが妨げられている様子が確認されます。
心筋症の初期病変を見る上では非常に有効な手段です。心筋の肥厚は心筋症以外にも、脱水・高血圧・甲状腺機能亢進症でも認められるため、これらの疾患を除外する必要があります。
4. 血液検査(BNP・NT-proBNP)
近年では、血液中の心臓ストレスマーカー(BNP、NT-proBNP)を測定することで、心臓病の有無や重症度を推測できるようになっています。
聴診で雑音がなくても、血液検査で異常値が見つかるケースもあります。
こんな症状があれば要注意!受診の目安
猫の心臓病は初期に症状が出にくいものの、進行すると以下のような変化が現れます。
- 呼吸が速くなった、または浅くなった
- 食欲が落ちた、動かなくなった
- 寝ている時間が増えた
- 開口呼吸(口を開けて息をする)をしている
- 突然後ろ足が動かなくなった(血栓塞栓症)
これらの症状が見られた場合は、早急に動物病院を受診してください。
特に呼吸の異常は緊急性が高く、数時間単位で悪化することもあります。
早期発見のためにできること
定期的な健康診断を受ける
成猫では年1回、7歳以上のシニア猫では年2回の健康診断がおすすめです。
血液検査や心エコー検査を組み合わせることで、見逃しやすい初期の心臓病を早期に見つけることができます。
検診時に「呼吸数チェック」や「心雑音の有無」を確認
診察の際には「最近呼吸が速い気がする」「寝ているときのお腹の動きが気になる」など、
気づいた変化を獣医師に伝えることが大切です。
家でもできる“呼吸数チェック”
安静時に猫が寝ているときの呼吸数(胸の上下の回数)を数えましょう。
1分間に30回以上が続く場合は、心臓や肺に異常があるサインかもしれません。
まとめ:健康診断が命を救うことも
猫の心臓病は「静かな病気」ですが、健康診断によって早期発見が可能です。
症状が出てからでは手遅れになることもあるため、
「まだ元気だから大丈夫」と思わずに、定期的に検診を受けるようにしましょう。
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