犬猫の貧血:どんな病気が隠れている?

「最近、愛犬・愛猫の元気がない」「歯ぐきが白っぽい」――そんなときに疑われるのが貧血です。
貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンの量が減少した状態のこと。体のすみずみに酸素が行き渡らなくなり、さまざまな症状が現れます。
この記事では、犬や猫の貧血の原因・症状・診断・治療法についてわかりやすく解説します。


犬や猫の貧血とは?

赤血球は、体の中で酸素を運ぶ大切な役割をしています。
この赤血球が何らかの理由で減少したり、うまく作られなくなると、酸素不足が起こり、体がだるく、動きが鈍くなってしまいます。

貧血の主な分類

  • 再生性貧血:体が赤血球を作ろうと頑張っているタイプ。出血や赤血球の破壊(溶血)などが原因。
  • 非再生性貧血:赤血球を作る能力そのものが落ちているタイプ。骨髄や腎臓の病気などが原因。

犬猫の貧血で見られる主な症状

貧血は進行しても気づかれにくいことがあり、注意が必要です。
以下のような症状が見られる場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 歯ぐきや舌の色が白っぽい・黄色っぽい
  • 元気がない、すぐ疲れる
  • 呼吸が速い・浅い
  • 食欲が落ちる
  • 寝ている時間が増えた
  • 重度では失神黄疸が見られることも

【原因別】犬猫の貧血に隠れている病気

① 出血による貧血(外傷・寄生虫・腫瘍など)

交通事故や消化管出血、ノミ・マダニ感染、腫瘍からの出血などが原因です。
特に高齢の犬猫では、脾臓や腸の腫瘍による出血性貧血が多くみられます。
便が黒い、腹部が膨らむ、急にぐったりするなどの症状がある場合は緊急受診が必要です。


② 赤血球が壊される貧血(免疫介在性溶血性貧血など)

体の免疫が誤って自分の赤血球を攻撃してしまう病気で、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)と呼ばれます。
突然の黄疸、濃い色の尿、発熱を伴うこともあります。
重症例では命に関わるため、入院での集中的治療が必要になります。

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③ 赤血球が作られない貧血(骨髄・腎臓・感染症)

赤血球を作る工場である骨髄や、造血を刺激するホルモン(エリスロポエチン)を作る腎臓に異常があると、赤血球が十分に作られなくなります。
特に猫では慢性腎臓病による非再生性貧血がよくみられます。
また、猫白血病ウイルス(FeLV)感染骨髄腫・白血病などの腫瘍性疾患も原因になります。

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④ 栄養性貧血(鉄欠乏・吸収不良)

長期の出血や消化管障害により、鉄やビタミンの欠乏が起こることもあります。
子犬や子猫では寄生虫感染(特に鉤虫)により鉄欠乏性貧血になるケースもあります。
フードの栄養バランスが悪い場合も注意が必要です。


動物病院での検査方法

貧血の原因を突き止めるには、次のような検査を組み合わせて行います。

  • 血液検査:赤血球数、ヘモグロビン濃度、網赤血球数など
  • 血液塗抹検査:赤血球の形や破壊の有無を確認
  • 血液化学検査・尿検査:腎臓・肝臓の機能を評価
  • X線・超音波検査:出血源や腫瘍の有無を確認
  • 骨髄検査:造血障害が疑われる場合に実施

治療法:原因に合わせたアプローチ

貧血そのものを治すには、原因疾患を特定して治療することが最も重要です。

原因主な治療法
出血性止血処置、輸血、外科手術
免疫介在性免疫抑制剤(プレドニゾロンなど)
腎性・骨髄性エリスロポエチン製剤、支持療法
栄養性鉄剤・ビタミン補給、食事改善

重度の場合は輸血が行われます。輸血は一時的な対処ですが、生命維持に必要な処置です。


飼い主さんができる早期発見のポイント

  • 歯ぐきや舌の色を日常的にチェックする
  • 元気・食欲の変化に敏感になる
  • フードの栄養バランスを見直す
  • ノミ・マダニ予防をしっかり行う
  • シニア期は定期健診(血液検査・超音波検査)を受ける

まとめ:貧血は「症状」であって「病気」ではない

犬や猫の貧血は、腫瘍・免疫疾患・腎臓病・感染症などのサインであることが多く、放置すると重篤化する恐れがあります。
「なんとなく元気がない」「口の色が白っぽい」と感じたら、早めに動物病院で検査を受けましょう。
早期発見・早期治療が、愛犬・愛猫の命を守る第一歩です。

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