猫の発情兆候後の避妊手術はいつがいい?|最適な時期と注意点
猫の避妊手術を考えるとき、「発情がきたけれど、今手術しても大丈夫?」「どのタイミングが一番安全なの?」というご相談をよくいただきます。
この記事では、猫の発情周期と避妊手術を行う最適な時期について、動物病院の視点からわかりやすく解説します。
猫の発情周期を知っておこう
猫は「季節繁殖動物」と呼ばれ、主に日照時間が長くなる春〜夏にかけて発情が起こりやすくなります。
特に避妊をしていないメス猫は、発情が数週間おきに繰り返されることもあります。
発情周期は以下のように4つのステージに分かれます。
| ステージ | 特徴 | 行動の変化 | 期間(目安) |
|---|---|---|---|
| 発情前期(前発情期) | 発情の準備段階でホルモンが上昇 | 落ち着きがなくなる、鳴く、甘える | 約1〜2日 |
| 発情期(真発情期) | 排卵が起こる準備が整う | 大きな声で鳴く、腰を上げる、スリスリする | 約4〜10日 |
| 発情後期(発情休止期) | 排卵が起きない場合に自然に発情がおさまる時期 | 徐々に鳴き声や行動が落ち着く | 約1〜3週間 |
| 無発情期(休止期) | 発情が完全におさまっている安定期 | 落ち着いた行動、ホルモン値も安定 | 〜数ヶ月 ※個体差あり |
発情中の避妊手術は避けるべき理由
発情中に避妊手術(卵巣子宮摘出術)を行うと、
- 子宮や卵巣の血管が拡張しているため出血リスクが高い
- ホルモンの影響で子宮がもろく、手術操作が難しい
- 術後に行動変化(鳴き声・スプレー行動など)が長引くことがある
といった理由から、一般的には発情中の手術は避けるのが望ましいとされています。
発情後の避妊手術はいつがベスト?
発情が落ち着いたあと、ホルモン状態が安定してくるまで少し時間をおくのが安全です。
具体的には――
発情がおさまってから2〜3週間後(=無発情期に入ってから)が最適なタイミングです。
この時期であれば、
- 子宮・卵巣の血管拡張が改善している
- ホルモン値が安定している
- 麻酔リスクや術中出血のリスクが低い
というメリットがあります。
「まとめると」:猫の発情と避妊の時期の関係
| 状況 | 期間(目安) | 手術の適否 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 発情前期 | 約1〜2日 | × | すぐに発情期になるため |
| 発情期 | 約4〜10日 | ×〜△ (可能だが出血リスク) | やむを得ない場合のみ |
| 発情後期(発情が収まる途中) | 約1〜3週間 | △〜◯ | 発情周期が短い子には実施を検討 |
| 無発情期(発情が完全におさまった状態) | 〜数ヶ月 ※個体差あり | ◎ 最も安全で理想的 | 季節性(光周期性)に期間が依存する |
発情中でも避妊手術を考慮するケース
実際には発情中でも手術を行うことは可能です。
ただし、通常よりもリスクや出血が増えるため、以下のような事情がある場合に限って検討されます。
- 外に出てしまい、妊娠の可能性がある
- 発情が頻繁で、次の休止期が来ない
- 飼育環境的に長くは待てない
このようなケースでは獣医師とよく相談し、猫の体調を最優先に判断してもらうことが大切です。
発情が頻繁にくる猫ではどうする?
無発情期に避妊手術を行う事が理想的ですが、若い猫や季節によっては、完全な無発情期間が短く、発情を1〜2週間おきに繰り返すこともあります。
動物病院では、
- ホルモン状態(発情兆候)の有無を診察で確認
- 必要に応じて手術時期の調整
などを行いますので、自己判断せず、まずは病院で発情の状態を確認するのがおすすめです。
ご自宅でできる発情対策
「手術を待つ間に、猫の鳴き声や落ち着かない行動を少しでも和らげたい」という飼い主さんも多いでしょう。
そんなときにできる、ご家庭での工夫を紹介します。
① 照明管理(蛍光灯のON/OFFを明確に)
猫の発情は日照時間の長さ(光周期)に影響されます。これは太陽光だけではなく照明の光にも影響されます。
長時間の明るさが続くと「春が来た」と体が勘違いし、発情が誘発されることがあります。
そのため、
- 夜はしっかり照明を消して暗くする(光を12時間以上連続で当てない)
- 昼と夜の区別をつける(ON/OFFの時間を固定する)
といった照明リズムを整えることで、発情の刺激をやわらげられることがあります。
② 環境を静かに保つ
発情中の猫は敏感になっています。
大きな音や刺激があると興奮が長引くことがあるため、
- 静かな部屋で過ごさせる
- 他の猫と一時的に離す
などの配慮も有効です。
③ ストレスを減らす
ストレスがホルモンバランスに影響を与える場合があります。
- いつも通りの食事リズムを保つ
- 優しく声をかける
- 落ち着ける寝場所を確保する
など、安心できる環境を作りましょう。
④ フェロモン製品の活用
市販の猫用フェロモン拡散器(例:フェリウェイ®など)を使うことで、
リラックス効果を得られる場合があります。発情による不安行動の軽減に役立つことも。
まとめ
猫の避妊手術は、「発情がおさまってから2〜3週間後」=無発情期が最も安全で理想的なタイミングです。
発情中や直後は体への負担が大きくなるため、焦らずホルモンが落ち着くのを待ちましょう。
猫は光周期性に発情が起こるため、無発情期をきちんと確保するためにご自宅の照明管理に気をつけましょう。
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