犬猫のシニア期に見られる体の変化|自然な変化と病気のサインの違いとは?
犬や猫も年齢を重ねると、体の機能や行動が少しずつ変化していきます。
その多くは“シニア期ならではの自然な変化”ですが、似たような症状が“病気のサイン”として現れることもあります。
本記事では、シニア期に現れる自然な変化と、病的な変化の違いを比較しながら、飼い主様が意識すべきポイントをまとめました。
犬猫のシニア期はいつから?
犬の場合
- 小型犬:7〜10歳頃
- 大型犬:5〜7歳頃
大型犬ほど老化のペースが早い傾向があります。
猫の場合
- 7歳頃からシニア期
- 11歳以上が高齢期
見た目は若々しくても、体の中では少しずつ変化が始まっています。
シニア期に起こる “自然な変化” と “病気のサイン” の違い
以下では、飼い主様が気づきやすい項目ごとに、
正常な加齢変化と注意すべき病気の可能性がある変化を比較して解説します。
1. 活動量の変化
●自然なシニア変化
- 動きがゆっくりになる
- 遊ぶ時間が減る
- 高いところに上らなくなる(猫)
加齢とともに体力が落ちるため、無理をしないよう行動が変化します。
●病気の可能性
- いつもより明らかに元気がない
- 呼吸が荒い、すぐ疲れる
- 痛がる様子がある
心臓病・関節疾患・内臓疾患などの可能性があるため注意が必要です。
2. 睡眠時間の増加
●自然なシニア変化
- 1日の睡眠時間が長くなる
- のんびり過ごす時間が増える
エネルギー消費を抑えるため、睡眠が増えるのはごく自然です。
●病気の可能性
- ぐったりしている
- 寝ていても呼吸が荒い
- 食事に興味がないまま寝続ける
慢性疾患や痛み、感染症などが隠れている場合があります。
3. 食欲・体重の変化
●自然なシニア変化
- 食欲にムラが出る/食欲が増す
- 少し痩せやすくなる/逆に太りやすくなる
- 食の好みが変わる
代謝や筋肉量が変わるため、多少の変化は一般的です。
●病気の可能性
- 体重が減る/増える(目安:基礎体重の10%の増減)
- 嘔吐や下痢を伴う
腎臓病・糖尿病・甲状腺疾患・消化器疾患などの可能性があります。食欲や体重の変化は自然な変化とわかりにくいケースが特に多いです。下痢や嘔吐を伴う変化は病気の可能性が高いと考えられます。
4. 毛並みや毛づやの変化
●自然なシニア変化
- 毛色が薄くなる
- 毛が細くなる(地肌が見えやすくなる)
- 毛づやが少し落ちる
猫では毛づくろいの減少により少し毛並みが乱れがちになります。
●病気の可能性
- 明らかな脱毛
- 急なフケの増加
- ベタつきや皮膚の赤み
皮膚病、内臓疾患、ホルモンの異常などの可能性があります。
5. 排泄の変化
●自然なシニア変化
- うんちが少し固くなる
- トイレの回数が安定しない
- トイレで踏ん張る時間が少し長くなる
- トイレに間に合わない
腸や膀胱の働きがゆっくりになるためです。筋肉量の低下や関節痛などの可能性もあります。
●病気の可能性
- 水を大量に飲む・尿量が大幅に増える
- 血尿・血便
- まったく排尿しない
これらは腎臓病や尿路疾患、ホルモン疾患が疑われます。排泄の変化も自然な変化かわかりづらいケースが多々あります。
6. 性格や行動の変化
●自然なシニア変化
- 穏やかになる
- 甘えん坊になる
- 興奮しにくくなる
- 少しマイペースになる
- 頑固になる
加齢により性格が変わるケースは多いです
●病気の可能性
- 夜鳴きが増える
- 反応が極端に鈍くなる
- ぐるぐる歩き回る
認知機能低下症や神経疾患の可能性があります。
自然な変化と病気のサイン…見分けるのは実はとても難しい
ここまで、自然な変化と病気のサインを比較して紹介しましたが、
実際は 両者は非常によく似ている ため、飼い主様が見分けるのは簡単ではありません。
睡眠が増えるのも
→「シニアだから当たり前」
にも見えるし、
→「病気でしんどい」
場合もあります。
体重が減るのも、
→「筋肉が落ちてきただけ」
にも見えるし、
→「腎臓や甲状腺の病気」
のこともあります。
まとめ|早めの気づきがシニア期の暮らしを守る
シニア期の犬猫では、加齢に伴う自然な変化と病気による変化がとてもよく似ており、飼い主様が見分けるのは本当に難しいものです。さらに、慢性疾患もシニア期の変化もゆっくり進行することが多いため、毎日一緒に過ごしていると小さな変化に気づきにくいことがあります。
だからこそ、
- 気になる点は早めに動物病院で相談する
- 動画や写真などで定期的に記録を残す
- 年に1〜2回は健康診断を受ける
この3つが、シニア期の健康寿命を守る大きなカギになります。
愛犬・愛猫が年齢を重ねても、快適で幸せに過ごせるよう、日々の小さな“気づき”を大切にしていきましょう。
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