雄犬が統計的にかかりやすい病気とは?性差に基づいた健康リスクを理解しよう!

犬の病気には、性別によって発症しやすいものが存在します。今回は、雄犬に統計的に多く見られる疾患に注目し、発症率や特徴、予防・管理のポイントを解説します。飼い主さんが日常的に気をつけるべきサインについてもご紹介します。


雄犬に多い病気と発症率データ

1. 尿道閉塞(特にストルバイト/シュウ酸カルシウム結石)

発症傾向と統計

  • 雄犬は尿道が長く狭いため、結石による閉塞リスクが高いです。
  • 尿道閉塞の発症は圧倒的に雄犬に多く、全体の90%以上を占めるとされています。
  • 特に小型犬(シュナウザー、ダックス、シーズーなど)でリスクが高い。
  • 頻尿・血尿・排尿困難・トイレに行っても尿が出ないといった症状には注意が必要。

2. 慢性腸症(CE: Chronic Enteropathy)

性差による傾向

  • 慢性腸症は、慢性的な下痢や嘔吐、体重減少を特徴とする消化器疾患です。
  • 犬の慢性腸症にはいくつかのサブタイプ(抗生物質反応性腸症、食事反応性腸症、ステロイド反応性腸症など)があり、そのいくつかの型において雄犬での発症率が高いと報告されています。
  • 例えば、ステロイド反応性腸症(炎症性腸疾患(IBD)など)では雄:雌 = 約1.5〜2:1 の発症比という報告もあります。
  • 一説では性ホルモンが免疫応答に影響している可能性があります。
  • 腸内フローラの構成も性差で異なる傾向があり、炎症リスクに影響を与えると考えられています。

3. 肛門周囲腺腫(会陰周囲腺腫)

発症傾向と統計

  • 肛門周囲腺腫は雄性ホルモンに依存する良性腫瘍で、99%以上が未去勢雄に発生します。
  • 高齢の未去勢犬(7歳以上)で好発。
  • 去勢手術により予防可能です。

4. 前立腺疾患(良性過形成・膿瘍・嚢胞など)

発症傾向と統計

  • 前立腺の病気は雄犬にしか発生せず、高齢になるほど頻度が増します。
  • 特に良性前立腺過形成は、未去勢の8歳以上の雄犬での発生率が80%以上とされています。

主な症状

  • 排尿困難や血尿
  • 排便時のいきみ
  • 歩行異常や腰痛様の症状

雄犬に多い病気の背景:解剖学的・ホルモン的要因

雄犬が特定の疾患にかかりやすい理由には、以下のような構造的・ホルモン的特徴があります。

  • 尿道が細長く、閉塞リスクが高い
  • 前立腺や肛門周囲腺など、アンドロゲン依存性の組織がある
  • ホルモンの影響で炎症や腫瘍が起こりやすくなる

飼い主さんへのアドバイス

● 水分摂取と食事管理で尿路結石を予防

ミネラルバランスや水分量に配慮した食事、常に新鮮な水を与えることで、尿石症や膀胱炎のリスクを減らせます。

● 慢性的な下痢・軟便は見逃さない

慢性腸症は症状が漠然としており、体重減少・食欲の変化(食ムラも含む)・繰り返される軟便が続く場合は早めに検査を。

● 高齢期はホルモン性腫瘍や前立腺に注意

未去勢であれば、肛門周囲腺腫や前立腺肥大のリスクが年齢とともに上昇します。定期的な触診や画像検査をおすすめします。


まとめ

雄犬はその解剖学的構造やホルモン背景から、尿道閉塞・慢性腸症・肛門周囲腺腫・前立腺疾患といった病気のリスクが統計的に高くなります。
これらは去勢手術や日常の体調観察、食生活の管理により予防や早期対応が可能です。

愛犬の性別・年齢に応じた健康管理を行うことで、トラブルのないシニア期を迎えられるようサポートしていきましょう。

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