雌犬が統計的にかかりやすい病気とは?性差に注目した健康管理を理解しよう!
犬の病気には、年齢や犬種に加えて「性別」がリスクに関わるものがあります。今回は、統計的に雌犬に多く見られる病気を紹介し、その予防や早期発見のためのポイントを解説します。
雌犬に多い病気とその背景
1. 乳腺腫瘍(乳がん)
特徴と性差
乳腺腫瘍は雌犬の腫瘍の中で最も多いとされ、特に未避妊の高齢雌犬に発症しやすい傾向があります。発症年齢は7歳以上が多く、悪性腫瘍の割合も約半数に上るため注意が必要です。
発症リスクの目安
- 初回発情前に避妊:発症率 0.5%
- 初回発情後の避妊:発症率 約8%
- 2回目以降の避妊:発症率 約26%
- 未避妊:発症率 約50%
主な症状
- 乳腺部にしこり(硬く動かない)
- しこりからの出血や潰瘍ができることも
2. 子宮蓄膿症
特徴と性差
子宮蓄膿症は、雌犬にしか起こらない命に関わる病気です。高齢の未避妊雌犬で特に多く、発情後1〜2か月で発症しやすくなります。
主な症状
- 陰部から膿のような分泌物
- 発熱・食欲不振・多飲多尿
- 急激な全身状態の悪化
対策
避妊手術によって100%予防が可能です。
3. 自己免疫疾患(例:免疫介在性溶血性貧血など)
雌犬での発症傾向
ヒトと同様に、自己免疫疾患は雌の方が罹患率が高い傾向があります。犬においても、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)などで、雌犬の方が多いとする報告があります。
背景とメカニズム
- エストロゲンが免疫過活動を助長するとされる?
- 雌犬の免疫系が攻撃性を持ちやすい可能性?
4. 膀胱炎・尿路感染症
雌犬に多い理由
雌犬は尿道が短くまっすぐなため、外部から細菌が膀胱に入りやすく、感染症のリスクが高いです。特に高齢犬や肥満犬では再発しやすくなります。
主な症状
- 頻尿や血尿
- トイレ以外での粗相
- 陰部をなめる行動
性差とホルモンの影響
雌犬の疾患傾向には、エストロゲンとプロゲステロンといった性ホルモンが深く関与しています。
- 乳腺腫瘍や子宮蓄膿症は、これらホルモンの影響を強く受けるため、避妊手術によって発症率を大きく下げることができます。
- 自己免疫疾患に関しても、ホルモンが免疫系に与える影響が関与していると考えられています。
雌犬の健康を守るために
1. 早期の避妊手術の検討
将来的な乳腺腫瘍や子宮疾患の予防には、初回発情前〜1回目後の避妊が特に効果的です。
2. 陰部や排尿行動の観察
排尿異常は泌尿器系トラブルのサインです。排尿姿勢や回数、においの変化に注意しましょう。
3. 慢性症状も見逃さない
だるさ、元気消失、貧血などの漠然とした症状が長く続く場合は、自己免疫疾患の可能性も含めて検査をおすすめします。
まとめ
雌犬は、乳腺腫瘍・子宮蓄膿症・尿路感染症・自己免疫疾患など、性差に関連して発症リスクの高い病気が複数存在します。これらは早期の避妊手術や日常の観察で、予防・早期発見が可能です。
愛犬の性別に合わせた健康管理を意識し、日々のケアと定期検診を活用して、健やかな一生をサポートしてあげましょう。
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