【猫の嘔吐も要注意?】繰り返す吐き戻しの原因と対策
はじめに
猫が毛玉を吐いたり、食後に少し吐いたりするのは、比較的よく見られる光景です。しかし、週に何度も吐く、数週間にわたって嘔吐が続くような場合は、単なる毛玉や食べすぎだけではないかもしれません。
この記事では、猫の慢性的な嘔吐の原因、特に見落とされがちな「消化器以外の病気」についても解説し、早期受診の重要性をお伝えします。
猫の「吐く」は正常?異常?
よくある「正常な吐き戻し」とは?
- 毛玉の吐出:グルーミングで飲み込んだ毛を定期的に吐き出すのは猫にとって自然な行動です。
- 早食いによる吐き戻し:食べた直後に未消化のフードを吐く場合は、早食いが原因かもしれません。
異常な吐き方のサイン
以下のような症状があれば、病気が隠れている可能性があります。
- 嘔吐が週2回以上ある
- 食欲不振や体重減少がみられる
- 水を飲んでも吐いてしまう
- 元気がなく、ぐったりしている
- 吐しゃ物に血が混じっている
慢性嘔吐の主な原因とは?
1. 消化管そのものの病気
● 炎症性腸疾患(IBD)
腸に慢性的な炎症が起きる病気で、嘔吐や下痢、体重減少が主な症状です。高齢猫でよく見られます。
● 胃炎・胃潰瘍
食欲不振や胃液のようなものを繰り返し吐く場合、胃の粘膜に炎症がある可能性があります。
● 消化管の腫瘍(リンパ腫など)
小腸や胃にできる腫瘍も慢性嘔吐の原因に。IBDと症状が似ているため、診断には画像検査や生検が必要です。
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2. 消化器以外の病気にも要注意!
● 尿管閉塞(特に雄猫に多い)
腎臓から膀胱へ尿を運ぶ「尿管」が結石などで詰まる病気で、嘔吐・食欲不振・元気消失といった消化器症状が目立ちます。
- 血液検査で腎数値(BUN, Cre)の上昇が見られることが多く、腹部エコーで診断します。
- 放置すると尿毒症になり、命に関わるため緊急処置が必要です。
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● 慢性腎臓病(CKD)
高齢猫で多い病気で、腎機能の低下により尿毒素が体内に溜まり、吐き気や嘔吐が続くことがあります。
● 甲状腺機能亢進症
代謝が過剰に活発になることで、多食・嘔吐・体重減少がみられます。10歳以上の猫では検査で確認を。
⚫︎動脈血栓塞栓症
動脈血栓塞栓症とは、心筋症などにより生じた血餅が動脈血管内で詰まる(血栓)状態を言います。血栓が詰まる際に激しい痛みが生じ、嘔吐を繰り返す事があります。「急な複数回の嘔吐」・「ギャンと鳴いた」・「足を引きずる」といった症状が併せてみられる場合は動脈血栓塞栓症の可能性も考えられます。
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家庭でできる工夫と注意点
● フードの工夫
- 消化しやすい療法食やウェットフードに切り替える
- 食事の回数を増やし、1回量を減らすことで嘔吐を減らせることも
● 毛玉ケア
- 定期的なブラッシング
- 毛玉対策用のフードやサプリメントの利用
● 嘔吐日誌をつける
- 吐いた日時、内容、食事のタイミングを記録しておくと、病院での診断に役立ちます。
どんなときに受診すべき?
以下のような場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
- 1日に何度も吐く
- 2日以上食欲がない
- 嘔吐に血が混じる
- 水も飲めない・ぐったりしている
- 排尿が少ない、またはまったく見られない(尿管閉塞の疑い)
まとめ:嘔吐は「胃腸の問題」とは限らない!
猫の嘔吐は一見するとよくあることに見えますが、命に関わる病気が隠れていることもあります。
とくに、慢性嘔吐がある高齢猫や、尿の異常を伴う場合は、早期に病院で検査を受けることが大切です。
日頃から食欲や便の状態、尿の様子、元気さを観察し、少しでも「いつもと違う」と感じたら、獣医師に相談しましょう。
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茅ヶ崎市・藤沢市エリアで犬猫の消化器症状でお困りの際は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にご相談ください。