犬のシャンプーの頻度はどのくらい?健康な犬と膿皮症の犬での違いを解説

犬のシャンプーは「汚れを落とす」だけでなく、皮膚や被毛を健康に保つ大切なケアの一つです。しかし、健康な子と皮膚トラブルを抱えている子(例えば膿皮症の犬)では、推奨されるシャンプーの頻度が大きく異なることをご存知でしょうか?

この記事では、健康な犬の場合と膿皮症にかかった犬の場合、それぞれのシャンプー頻度とその理由について詳しく解説します。


健康な犬のシャンプー頻度:月に1〜2回が目安

まず、健康な犬について。
犬の皮膚は人間と比べて薄く、とてもデリケートです。犬の皮膚の角質細胞は20〜30日(約3〜4週間)で生まれ変わります(ターンオーバー)。このサイクルに合わせて、月に1〜2回のシャンプーが推奨されています。

過度に頻回なシャンプーは、皮膚の角質バリアを破壊し、乾燥や痒みなどの皮膚トラブルのリスクを高めてしまいます。ニオイやベタつきが気になると、毎日のようにシャンプーしたくなるかもしれませんが、それはかえって逆効果となります。

健康犬でのシャンプーのポイント

  • 目安は月1〜2回
  • 普段はブラッシングや濡れタオル拭きで十分
  • 追加ケアとしては保湿系のフォーム剤やスプレーやシートを使用すると尚OK!
  • 季節や体質、犬種によって調整は必要(例:脂漏症傾向のある子はやや多め)

つまり、健康な子は「皮膚を守る」ことが最優先。過度に清潔にしすぎる必要はありません。

膿皮症の犬のシャンプー頻度:週に2〜3回が推奨

膿皮症はStaphylococcus pseudintermediusを中心とする細菌が過剰に増えて起こる皮膚病で、皮膚に赤み・フケ・膿をもった小さな丘疹が出る病気です。この場合、シャンプーは単なる「清潔維持」ではなく、抗菌シャンプーが治療の一部として積極的に行われます。表在性膿皮症に対して病態の重症度に応じて週に2〜3回の頻度で洗うことが推奨されています。

抗菌効果の持続は72時間程度

代表的な抗菌シャンプーの成分であるクロルヘキシジンの抗菌効果は24〜72時間程度持続すると言われています。
つまり、3日も経てば再び細菌数が増えてしまう可能性があるのです。
そのため、膿皮症の子では最初に週2〜3回のシャンプーが推奨されます。症状が改善し、皮膚の状態が安定してきたら週1回程度に減らし、再発傾向がなければ健康犬と同様に月1〜2回に戻すのが一般的です。

濃度と皮膚への影響

膿皮症治療に用いられるクロルヘキシジンシャンプーは、2〜3%濃度が標準的です。

  • 2〜3%:十分な抗菌効果があり、安全性も高い
  • 4%以上:より強力だが、乾燥肌の犬では刺激になることがある

皮膚の乾燥や刺激が気になる場合は、保湿剤を併用することでバリア機能を守りながら治療を続けることができます。

皮膚のターンオーバーを考慮すると週2〜3回の薬用シャンプーって、正常な皮膚とっては悪いんじゃないの?

確かに健康な犬にはシャンプーのしすぎはバリア機能を損ねてしまう要因となりますが、膿皮症ではバリア機能がすでに破綻しています。そのため健康犬と違い「乾燥やバリア破壊リスクよりも抗菌管理を優先」し、細菌を減らすために短期間集中的に週2〜3回実施します。また、最近ではシャンプーだけでなく、フォーム剤やスポットタイプの外用剤を部分的に使ったり、シャンプー後に保湿ケアを組み合わせたりすることで、皮膚への負担を抑えつつ治療を行う工夫も考えられています。

健康犬と膿皮症犬のシャンプー頻度を比較

犬の状態推奨シャンプー頻度根拠
健康な犬月1〜2回皮膚ターンオーバーは約3週間。頻繁すぎると皮膚バリア破壊のリスク。
膿皮症の犬週2〜3回から開始→改善後は週1回抗菌シャンプーの効果持続は24〜72時間。菌数コントロールに複数回/週が必要。

まとめ

  • 健康な犬:月1〜2回のシャンプーで十分
  • 膿皮症の犬:抗菌シャンプーを週2〜3回使用するのが推奨(状態に応じて)
  • 頻度の根拠は、抗菌効果が24〜72時間程度で弱まるため
  • 濃度は2〜3%がバランス良く、必要に応じて保湿剤を併用

「愛犬を清潔にしてあげたい」ちいう気持ちはとても大切ですが、闇雲にシャンプーを増やすのは皮膚にとって逆効果となる場合もあります。皮膚の仕組みと病気の特徴を理解し、その子に合った頻度と内容のシャンプーをすることが健康維持につながります。

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