猫のコロナウイルス抗体価検査について|FIP(猫伝染性腹膜炎)発症を防ぐために

はじめに

近年、動物たちの健康に対する関心が高まる中で、猫におけるコロナウイルス(FCoV)に関連する問題が注目されています。FCoVは、猫の腸粘膜に感染し、通常は軽度の症状を引き起こすことが多いですが、一部のケースでは重篤な疾患である猫伝染性腹膜炎(FIP)を引き起こす可能性があります。この記事では、猫のコロナウイルス抗体価検査について、検査の目的や方法、結果の解釈について詳しく解説します。

コロナウイルスとは?

猫コロナウイルス(FCoV)は、猫の腸に感染するウイルスで、主に消化器系の疾患を引き起こします。多くの猫はFCoVに感染しても無症状であることが一般的ですが、一部の感染した猫はFIPを発症します。FIPは非常に致死的な病気で、感染した猫の免疫系を攻撃し、内臓に重大な損傷を与えます。

抗体価検査の目的

猫のコロナウイルス抗体価検査は、以下のような目的があります。

  1. 感染の有無の確認
    抗体検査は、猫がFCoVに感染した(事があるか)かどうかを知る手段の一つです。血液中の抗体の有無を調べることで、過去の感染や現在の感染状況を把握できます。
  2. FIPのリスク評価
    FCoVに感染したからといって必ずしもFIPを発症するわけではありません。しかし、抗体価が高い猫はFIPのリスクが高まります。この検査により、FIPの可能性を評価し、早期の対策を講じることができます。
  3. 飼い主への情報提供
    検査結果は、飼い主が猫の健康状態を理解し、必要な対策を講じる手助けとなります。

検査の方法

猫のコロナウイルス抗体価検査は、通常、以下の手順で行われます。

  1. 血液サンプルの採取
    獣医師が猫の血液を採取します。この際、特に注意深く行われ、猫のストレスを最小限に抑えるよう配慮されます。
  2. 検査機関での分析
    採取された血液は、専門の検査機関に送られ、抗体価の測定が行われます。これにより、FCoVに対する抗体の濃度を調べます。
  3. 結果の確認
    検査結果は、通常数日以内に得られます。獣医師が結果を確認し、必要に応じて今後の治療や管理方針を提案します。

結果の解釈

抗体価検査の結果は、以下のように解釈されます。

  1. 陰性(抗体なし)
    FCoVに感染していないか、最近感染したばかりでまだ抗体が形成されていない状態です。感染症のリスクが低いとされますが、完全に安全とは言えません。
  2. 陽性(抗体あり)
    FCoVに感染したことがあることを示します。しかし、陽性結果が出たからといって必ずしもFIPを発症するわけではありません。抗体の量や猫の健康状態を考慮する必要があります。
  3. 高抗体価
    抗体価が高い場合は、FIPのリスクが高まります。この場合、さらに詳細な検査や観察が必要になることがあります。

種類にもよりますが、一度生成された抗体は持続感染がなければ数ヶ月から数年間の間に減少して行きます。抗体価検査は過去の感染を示す指標ではありますが、現在の感染状況を確認するためには、ウイルスのPCR検査など、より直接的な検査が必要です。PCR検査は、ウイルスの存在を確認するため、現在の感染状態をより正確に把握する手段となります。腸コロナウイルスの感染の有無については糞便PCR検査が有効です。

もしコロナウイルス抗体価が高いと判断されたら…

先述の通り、抗体価検査は「過去に感染した事がある指標」となるため、現在進行形のものを示唆する訳ではありません。持続感染でなければ通常、抗体は数ヶ月〜数年単位で減少していきます。症状もなく元気な場合は、時間をおいて再検査をしましょう。

もしくは症状がなくとも、高抗体価と出た場合は糞便のコロナPCR検査をする事も良いでしょう。ここで陽性結果であれば、少なくとも腸コロナは持続感染している事がわかります。FIPが発症しないようストレスをかけない生活を心がけましょう。また、多頭飼いの場合はウイルスが蔓延する可能性があります。一般的に2匹までであれば、腸コロナは時間経過で排出されていきますが、3匹以上のサークルではウイルスが残存すると言われています。必要に応じて、隔離・衛生管理を徹底的に行いましょう。

ストレスをかけない生活とは?

PCR検査で腸コロナが陽性の猫は、ストレス負荷によりFIPを発症するリスクを伴います。長期的なストレス負荷に伴い、血中のコルチゾール濃度が上昇し、免疫力が低下します。また、強いストレス負荷は腸内フローラの乱れを引き起こし、腸の抵抗力も低下します。

この免疫力の低下が、FIP発症リスクにつながると考えられています。

具体的なストレスは、長時間に及ぶ麻酔処置ペットホテルなど慣れない場所への移動生活衛生環境の悪化、多頭飼育の場合は他の猫ちゃんとの関係性など考えられます。

また、猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスが陽性の子も免疫力が低下しているため、FIP発症リスクに繋がる可能性が考えられています。

FIPの予防と管理

FIPは非常に致命的な病気であるため、予防が重要です。以下の点に留意しましょう。

  1. 感染予防
    多頭飼いの環境では、感染が広がりやすいため、衛生管理を徹底しましょう。新しく猫を迎える際は、感染状況を確認することが大切です。
  2. 定期的な健康チェック
    猫の健康状態を把握するために、定期的な獣医師の診察が重要です。抗体価検査もその一環として行うことが推奨されます。
  3. ストレスの軽減
    ストレスは免疫力を低下させる要因となります。猫が快適に過ごせる環境を整えることが大切です。

まとめ

猫のコロナウイルス抗体価検査は、FCoV感染の有無やFIPのリスクを評価するための重要な手段です。検査結果を基に、適切な対策を講じることで、猫の健康を守ることができます。愛猫のために、定期的な健康チェックを怠らず、専門家のアドバイスを受けながら最善のケアを行っていきましょう。茅ヶ崎市・藤沢市エリアで疑いも含めてFIP(猫伝染性腹膜炎)でお悩みの方は湘南ルアナ動物病院(湘南Ruana動物病院)までお気軽にお問い合わせください。

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