猫の品種ごとに多い好発疾患|飼い主さんが知っておきたい病気と予防法

猫を迎えるとき、見た目や性格に注目する方は多いですが、実は猫の品種によってかかりやすい病気(好発疾患)があることをご存じでしょうか?
猫の品種ごとの好発疾患を知っておくことは、愛猫の健康管理や病気の早期発見につながります。今回は、代表的な猫の品種とその好発疾患、さらに飼い主さんができる日常ケアについて解説します。


猫の品種と好発疾患を知る重要性

猫の病気は偶然起こるものだけでなく、遺伝的な背景や品種の体質が関係している場合もあります。例えば、心臓病や腎臓病は特定の品種で多く見られることが知られています。

愛猫がどの病気に注意すべきかを知っておくことで、以下のメリットがあります。

  • 健康診断で重点的に調べてもらえる
  • 早期に異変に気づきやすくなる
  • 病気の進行を防ぐための生活管理ができる

猫の品種ごとの好発疾患一覧

① メインクーン|肥大型心筋症(HCM)

大型で温厚なメインクーンは、遺伝的に肥大型心筋症(HCM)のリスクが高い品種です。心筋が厚くなり、心不全や血栓塞栓症を引き起こすことがあります。

チェックポイント

  • 呼吸が速い、息苦しそう
  • 元気がない、動きたがらない
  • 突然後ろ足が動かなくなる(血栓のサイン)

早期発見には定期的な心臓のエコー検査血液検査(NT-proBNP)が有効です。

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② ペルシャ・ヒマラヤン|多発性嚢胞腎(PKD)

ペルシャ系の猫では多発性嚢胞腎(PKD)が有名です。腎臓に嚢胞ができ、徐々に腎不全へ進行する遺伝性疾患です。

チェックポイント

  • 多飲多尿(よく水を飲み、尿が多い)
  • 体重減少
  • 毛並みが悪くなる

遺伝子検査でキャリアかどうか調べることができ、定期的な腎臓の血液検査・エコー検査が大切です。


③ スコティッシュフォールド|関節疾患(骨軟骨異形成症)

折れ耳が特徴のスコティッシュフォールドは、骨軟骨異形成症という関節や骨の病気が多い品種です。

チェックポイント

  • 足を引きずる、歩き方がぎこちない
  • 関節を触ると痛がる
  • 運動量が少ない

肥満が進行を悪化させるため、体重管理と関節サプリメントが有効です。


④ シャム・オリエンタル系|呼吸器・腫瘍

シャムやオリエンタルショートヘアは呼吸器系疾患や悪性リンパ腫が比較的多いとされます。また、甲状腺機能亢進症も中高齢でよく見られます。

チェックポイント

  • 慢性的なくしゃみや鼻づまり
  • 首元の腫れ
  • 高齢期に痩せてきた

鼻腔やリンパ腫のチェックには画像検査、甲状腺の病気は血液検査で早期発見が可能です。

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⑤ ノルウェージャンフォレストキャット|心疾患・糖尿病

ノルウェージャンフォレストキャットは大型で美しい毛並みが魅力ですが、心筋症や糖尿病に注意が必要です。

チェックポイント

  • 運動不耐性(すぐ疲れる)
  • 水を大量に飲む、尿が多い
  • 肥満傾向

定期健診で心臓と血糖のチェックを行うことが安心につながります。

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⑥ 日本猫(MIX)|比較的丈夫だが高齢期に注意

血統の影響を受けにくいMIX(雑種)の日本猫は比較的丈夫とされますが、高齢期には腎不全や甲状腺機能亢進症が多く見られます。

チェックポイント

  • 食欲はあるのに痩せていく
  • よく水を飲む
  • 嘔吐や下痢が続く

日本猫だから安心というわけではなく、シニア期には定期的な健康診断が必須です。

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⑦ 純血種全般|猫伝染性腹膜炎(FIP)

純血種の猫に特有というよりも、繁殖施設やペットショップなどでの集団生活によってリスクが高まる病気が猫伝染性腹膜炎(FIP)です。

FIPは、もともと多くの猫が感染する「猫コロナウイルス(FCoV)」が突然変異して発症する病気で、特に子猫や若い猫に多く見られます。
純血種は繁殖の過程で複数頭が同じ空間で生活することが多いため、猫コロナウイルスに感染する機会が増え、その結果FIPの発症リスクが高くなるのです。

チェックポイント

  • 元気消失、食欲不振
  • 発熱が続く
  • お腹に水がたまる(ウェットタイプ)
  • ふらつきなどの神経症状やぶどう膜炎(眼の異常)が出る(ドライタイプ)

かつては「治療が難しい病気」とされてきましたが、近年は新しい抗ウイルス薬の登場により、早期診断・治療で回復が期待できるようになってきています

飼い主さんができることは、

  • 迎える際にブリーダーやショップの飼育環境を確認する
  • 集団飼育環境から来た子猫は特に注意深く観察する
  • 抗体価検査や糞便PCR検査でコロナウイルスの感染を確認する
  • 少しでも異変を感じたら早めに受診する

といった点が大切です。

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飼い主さんができる予防とケア

猫の品種と好発疾患を知った上で、飼い主さんができる対策には以下があります。

  1. 定期健診を受ける(年1〜2回、シニア期は半年に1回がおすすめ)
  2. 体重管理を徹底する(肥満は多くの病気を悪化させる)
  3. 食事管理(腎臓・心臓・関節など疾患に合わせたフード選び)
  4. 日常の観察(呼吸・歩き方・飲水量・トイレの様子をチェック)

まとめ:猫の品種ごとに好発疾患を理解し、早期発見を心がけよう

「猫 品種 好発疾患」を理解することは、愛猫の健康寿命を延ばす第一歩です。

  • メインクーン → 心筋症
  • ペルシャ → 多発性嚢胞腎
  • スコティッシュフォールド → 関節疾患
  • シャム系 → 呼吸器疾患・腫瘍
  • ノルウェージャン → 心疾患・糖尿病
  • 日本猫(MIX) → 高齢期の腎不全・甲状腺疾患
  • 純血種全般→猫伝染性腹膜炎

愛猫の品種に多い病気を知り、定期的な健康診断と日々の観察を続けることが最大の予防です。少しでも「おかしいな」と感じたら、迷わず動物病院にご相談ください。

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